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#35 企業勢の連絡先を手に入れてしまった

 リストというのはざっくりいうとアドレス帳の事だ。登録には互いの同意が必要なのが普通のアドレス帳と違ってハードルが高いが、一度リストに登録されたプレイヤーとは通話をしたりログイン状態を確認したりする事が出来る。リストから直接パーティーに誘う事も可能だ。広大かつ多数のプレイヤーがいるMMOでは必須の機能だ。


 ……いや、しかし、そんな! ロンちゃんやルトちゃんをリストに入れようだなんて、そんな畏れ多い……! 近くで御尊顔や絡みを拝めただけでも感無量だというのに、今後も繋がりを保とうだなんて欲張り過ぎだ。

 ま、まあ本音を言えばそりゃあ連絡先は欲しいけど。めっちゃ欲しいですけれど。けれでも、それは高望みというものだろう。何事にもラインというものがある。それを越えてはならない。


「リストか。それは生憎だけど難しいね。チクタクマン社(ボクのところ)はその辺りが厳しくてね。会社に許可を取らないと教えてはいけない事になっているんだ」

「あ、うん。ですよねー……」


 ロンちゃんの返答は予想通りだった。そりゃあまあそうだろうという答えだ。企業勢はその辺きちんとしないと後々トラブルになるからね。残念だけど仕方ない。


「……あの、わたしは平気だよ。ヒプノス・C(わたしのところ)はそういうの緩いから。だから、その、良かったらわたしと交換してくれる?」

「うぇえええええ!? い、良いんですか!?」

「……うん、いつでもパーティーに誘って。VTuberのお仕事があるから出られるかどうかまでは約束出来ないけど」

「いやいやいやいや! そのお言葉だけで充分ですから!」


 むしろ私の事なんか忘れてお仕事頑張って! そして配信でより多くのてぇてぇを見せてもろて!


「ボクも会社に頼んでみよう。問題がなかったら、その時はルトを通じて知らせるよ」

「ひょおわっ! あ、あ、有難う御座いますぅ!」


 エラい事になった。まさか企業勢と連絡先を交換してしまうなんて。望外にも程がある。私、今日中に死ぬんじゃないだろうか。運の使い過ぎで私、死んじゃうんじゃないのこれ?


「……じゃあ、これからもよろしく、すのこさん」

「ひゃ、ひゃい!」


「よろしく」の言葉と共にルトちゃんがとびきりの笑顔を見せてくれた。本物の天使の笑顔だ。あ、うん。これはもう私、死んでも満足だわ。むしろこの場で尊死するわ。てぇてぇが過ぎて心臓止まるわ。


 ……本当、テストプレイ二日目にしてエラい事になってしまった。

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