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#111 私の名は二倉すのこ

 煙幕の中にマイが現れる。容姿はβ版と変わらない侍スタイルだ。コメント欄も彼女の登場に歓喜し、流れが爆速になる。大盛り上がりだ。


「マイもVTuberになればいいのに。結構人気があるのマナ知っているよ」

「興味ねえな。オレはすのこを守れればそれでいい。オレに応援を(スパチャ)したけりゃあすのこ宛てにやってくれ。すのこが嬉しけりゃあオレは報われる」

「ええ……何このイケメン……!」


 格好よすぎなんですけど、この人。

 この人、私の相棒なんですよ知っています? いいでしょ?


「さあて、どうする? お二人さん。このまま尻尾を巻いて逃げるか?」

「それも面白い絵が撮れそうけど、今の流れ的には反撃タイムかな」

「マジで!? でもマナちゃんが()る気ならやらいでか!」


 煙幕が効いている内に作戦と準備を済ませて行動開始。この巨躯をどうにかして仕留める。兎にも角にも刺激的な絵面を。それが配信者として選ぶべき挑戦だ。

 コメント欄も『えっ!? アレに挑むの?』、『やめとけやめとけ、後悔するぞ』、『女は度胸、何でも試してみるもんさ』と盛り上がっている。有難う、そのリアクションだけでも挑戦する甲斐はある。


「オーケー。そう来るだろうと思って助っ人を呼んでおいたぜ」

「助っ人? あっ、皆!」


 マイが指差した先には三人が立っていた。ルトちゃんとラトとテップだ。


「……や、偶然。今日はプライベートのつもりだったんだけど、来ちゃった」

「てめぇが今日配信するって言うからPKしに来てやったぜ! まあ、その前にあのデカブツをブッ潰さなきゃいけねえみてえだけどな!」

「BuMooooo!」


 三様の口上を述べる三者。とにかくここで助太刀は有難い。二対一では勝ち目はなかったけれど六対一ならどうにかなるかもしれない。

 煙幕が晴れていく。魔城兵が再度私達を発見し、窓の奥にある眼球(カメラ)を光らせた。


「よし! 行くよ、皆!」

「応!」


 六人の掛け声が揃う。気合は充分。襲い掛かってくる巨体を相手にしても怯みはない。各々得物を手に私達は眼前の敵へと立ち向かった。

 私の名は二倉すのこ。元個人勢のVTuber。今はチクタクマン社所属のVTuberにしてマナちゃんの計画の共犯者だ。企業案件として、推し事として、彼女の友達としてVRMMO『旧支配者のシンフォニア』の認知度拡大に尽力している。


 私は今日もここで配信者を続けている。






 あ、ちなみに魔城兵には普通に負けました。

 やっぱりちゃんと適正レベルを考えなきゃ駄目だよね。勢いだけじゃどうにもならないって事ってありますわな。

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