やんちゃな二人
その時、高校二年生だった俺は、友人達と一緒にストーブに当たっていた。
今はどうか分からないが、当時の高校は、冬場になると
教室の片隅に大型の石油ストーブが設置されていた。
ファンヒーターと違い、上部は勿論、回りも暑くなるタイプなので、直接触れないように、ストーブの回りはゲージで囲まれていた。
横浜の冬は、そんなに雪こそ降らないものの、かなり底冷えがする。
なので、授業の合間の休憩時間には、ストーブの回りに生徒が集まり、学生ならではの下らない話に花を咲かせていた。
その日も、そんなクラスメイトに混じってストーブにあたっていると、ストーブの上に何かが乗っているのに気付いた。
何だろうと思ってよく見ると、それは自転車の鍵のようだった。
誰のだろう?
とは思ったものの、特に気にとめずみんなとしゃべっていると、やがてチャイムが鳴った。
席に着くと、やんちゃな二人のクラスメイトが、何かしら企んでいる模様。
一人はストーブの近くにいて、もう一人は教室のドアから廊下を覗いている。
しばらくすると、廊下を覗いていた一人が合図をした。
『来た!来た!』
次の授業の先生は、なぜか生徒に嫌われている男性教師だった。
その教師が廊下を歩いてきたのを発見して合図をしたわけだ。
合図を受けたもう一人は、割り箸でストーブの上の鍵を掴むと、教卓の上に投げ出し、慌てて席についた。
やがて先生が入ってくると、週番が声をかける。
『きりーつ。礼。着席。』
礼をして頭を上げた先生は、教卓の上の鍵に気付き、指先でつまみあげると、
『おーい、これ誰の……ウアッチャー!!』
あまりの熱さに鍵を投げ出した。
悪い事するもんだ。
笑っちゃったけど。
先生が『ウアッチャー!』と叫んで鍵を投げ出した瞬間に立ち上がって『やーい。』と言った犯人が追いかけ回されたのは言うまでもない