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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
市営バス時代
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手袋






路線バスのドライバーは大抵白い手袋をしている。



自分がトラックドライバーをしていたとき、バス停で発車しようとしているバスに道を譲ると、窓からスッと白い手袋が出てきて、カッコいいなと思っていた。



路線バスは二人一車といって、午前番と午後番の二人で一台の担当車を持つことが多い。



手袋は、そんな相方のためにハンドルに汗をつけないようにするという意味もある。




後は、先程のように挨拶をする時に目立つからという意味もある。




挨拶は後ろの車への御礼として窓から手を出したり、交差点で譲ってくれた前方の車へする場合がある。




あとは、バス同士の挨拶だ。




すれ違うときに手をあげて挨拶をするのだが、その手の上げ方も色々なバリエーションがあった。




俺もただ手を上げるだけじゃつまらないと思い、白い手袋の手のひらに顔を書いた。




顔と言っても、マジックで目と口を書いただけのいわゆるスマイルマークだ。





初めてその手袋で挨拶をしたとき、すれ違った先輩は『え?』というと顔で凝視したあと笑い出したり、目を背けて見ないようにしたりと色々な反応を見せた。




休憩時間、目を背けていた先輩に会うと、




『お前、やめてくれよ。笑っちまって仕事になんねぇよ。』




と言って笑っていた。





逆に俺はなんとか笑わせようと、ウインクしてるバージョンや、青タンバージョンなど何種類か作って遊んでいた。




ある時、俺のバスの前を幼稚園のマイクロバスが走っていた。




最後部に座っていた園児が後ろにいる俺に気付き、手を振ってきた。


俺も笑顔で手を振る。


もちろんニコちゃんマークの着いた手袋だ。




園児の顔がパッと輝き、前に走っていったと思ったら、大勢の園児が後ろに集まってきた。



俺が手を振ると大騒ぎになった。



先生も何事かと見に来て笑っていた。




交差点で幼稚園バスは真っ直ぐ行き、俺は左折したのだが、園児達は最後まで手を振っていた。




こうしたちょっとした変化があると、仕事も楽しい。





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