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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
市営バス時代
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まるでロールプレイングゲーム






俺が市バスの仕事を始めたとき、配属された営業所に同期は五人いた。



そのうち一番中の良かった同期は、家族が○○学会の会員らしく、本人は反発していた。



その理由は、勧誘をしなければならないこと。



そんな彼は職場でいじめに合い、鬱を発症して長期療養休暇を取っていた。



俺は心配して電話をしたりしていたが、本人が電話に出ることはなく、母親が対応してくれていた。




そんな状況で本人とは連絡が取れないまま数ヵ月が過ぎ、もう復帰は無理だろうと同僚たちと話していた頃、彼の母親から電話があった。




当然、彼の進退について連絡してくれたのだろうと思っていたら、その時は宗教団体の有する政党の選挙に関する勧誘の電話だった。


どうか一票入れてほしいと……



俺はガッカリした。



彼の様子については一言も話さないまま、選挙の話を切り出されたからだ。



こういう所が宗教に対する不信感をもたらすのだと思った。



そんな俺も、お祓いを受ける流れから、一般的には宗教団体に分別されるところに入会していた。




とはいえ、宗教臭くないし、勧誘する必要もなく、活動に参加するのもやめるのも自由。

何よりリーダーの先生のことを誰も教祖とは呼ばない。



本人も教祖と呼ばれるのは嫌い、一般の会員とも普通に接しているから、益々宗教臭くは無かった。



そんな団体の活動に始めて参加したのは、『深○東○お話の夕べ』という講演会だった。



始めて参加する俺は興味津々で、どんな話が聞けるのだろうと思っていたら……


講演会の間じゅう、笑いっぱなしだった。



お笑い芸人を見ても、あんなに腹を抱えて笑ったことはなかった。




しかも内容はとても深いところから、掘り下げてとても分かりやすく解説してくれ、その合間に先生の大好きなアニメソングを熱唱したり、オリジナルパフォーマンスを披露したり、とにかく楽しめてためになる講演会だった。



そして益々この人はほんものだ!という思いを強くした。



その活動のコンセプトは、


第一段階として、


『実在する神を掌握する。』


つまり、様々な体験を通して神様は本当にいるんだという確信を得、



次に



『神を行じる』



実際に神様に動いていただき、世の中を良くする。



という流れになっているらしかった。




実際、体験しないと分からないので、興味本意で色々と参加してみた。



最初に思ったのは、まるでロールプレイングゲームだな、ということ。



当時、中国と台湾が本当に戦争に突入しそうな雰囲気になっていた。



そこで、先生を筆頭にみんなで祈ると、答えが出た。




『台湾の○○の地に○○千年前から眠る神がいる。この神はこの度の戦争を止める事が出来る神である。皆の誠を結集し、この神を揺り動かせ!』



みたいな感じになる。



まるでロールプレイングゲームだ。




実際に起こっていることとは思えない。



が、鳥肌が立った。




俺は実際、その台湾神業というものに参加してみることにした。



かかるのは交通費と数千円の参加費のみだったが、その交通費が結構かかった。



何しろ海外旅行は始めてだったので、飛行機にも始めて乗ったし、台湾に着いてから乗った飛行機はプロペラ機だった(^^;



そしてチャーターしてあるバスに乗って目的地の湖に向かう。



そこに眠る龍神を呼び起こすというのだ。




みんなで湖の畔に集まり、携帯椅子に座って祈りを捧げる。




この戦争を止め、人々を救いたまえ。と。




現地でバスを降りて湖に集まったとき、バスの車内清掃をしていた日本語の分かるガイドさんが、資料を目にしていたく感動されたらしかった。


『この人達は私たちの為にわざわざ日本から祈りに来てくれたんだ。』と。




感動したガイドさんが、外に出て、湖の畔で祈りを捧げる俺達を見ていると、先生がが祝詞を上げ始めた瞬間から湖が真っ二つに別れ片方は波ひとつない凪の状態なのに対して片方はバシャーンバシャーンと激しく波をうっていたとか。




勿論俺達は目をつぶっていたので、後日ガイドさんが語った話が伝わるまで湖がそんな状態になっていたとは知らなかった。




そのガイドさんは感動のあまり、会社の仲間にその話をし続け、数年後にもう一度行われた台湾神業の時には、『またあの人たちが来る!』と現地で話題になり、バスをパトカーが先導してくれたんだとか。




俺は二回目は行けなかったので、その話を聞いて感動した側の人間だった。




そんな俺は今でもいわゆる一般的な宗教というのは嫌いだ。




『信じるものは救われる。だからあなたも入信しなさい。』




なんか違うと思う。




もし、本当に神様がいるとしたら、果たして信じるものだけを救うなんてことをするだろうか。





1999年の危機を回避したときも、同じように日本全国や海外へ行き、祈り続けて眠れる神を動かした人々がいる。



まるで映画のようで、実際のこととは思えないだろう。





そんな時に先生が、言った事が忘れられない。




『世の中の人は、何も知らずに『何もなかったね。(ノストラダムスの予言は外れたね)。』って笑っていてくれればそれでいいんです。実際は大変な危機の連続だったんですが……


何も知らない人は、知らずに平和でいてくれたらそれでいい。でも、私たちは知ってしまったから。……真剣に神に向かっていくしかありませんね。』




信じる人だけが救われるというスタンスとはまるで違うのだ。




だからこそ信じられると俺は思っている。




この当時、同僚が『台湾に何しにいくの?』と聞いたので、『みんなで中国との戦争を止めるために祈りに行くらしいよ。』と言った。


すると、『その人たち頭おかしいね。』と言われてしまった(^^;




まぁ、そんな彼も、知らないのだから、ただ平和にに日常を過ごしてくれればいいということだ。




あれからもずっとロールプレイングゲームのような活動は続いている。




嘘のようだが、ほんとのはなし。



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