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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
長距離トラック時代
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お祓い






母の一周忌の法要の時、集まった親戚たちにまた同じようなことを言われた。


一年前の葬儀の時も言われたのだが、それは『あんたは絶対、一度お祓いを受けた方がいい。』というようなことだった。




というのも、父は昔から色々とあるらしく、その父こそお祓いを受けた方がいいと親戚たちは思っていたらしいのだが、母が亡くなり、俺が長距離トラックの仕事をしていることから、『あんたは長男だから、きっとお父さんから悪いものを受け継いでる。だから、あんたもお祓い受けた方がいい』というものだった。



別に親戚たちが怪しげな宗教にはまっているとかではなく、本当に心配しての事だった。



俺としても、以前妹の超能力を目の前で目撃したこともあり、目に見えないものの存在は確信していた。




だが、怪しい霊感商法などには騙されたくないとも思っていた。




テレビなどではよく見るお祓い。



だが、実際に自分が受けようと思うと、どうやって探したらいいのか迷う。



今のようにインターネットが普及していなかったので、まずは美○ひ○りさんのお墓がある有名なお寺に相談に行った。



すると、三万円の祈祷料でお祓いが出来るというので、受けてみた。




住職が経典を持って読経しながらそれで肩などを軽く叩いていく。




受け終わってお礼を言って帰ってきたが、それで祓われたという実感は無かった。



それで今度は、学研の月刊ム○というミステリーマガジンに乗っていた広告からお祓いをしている所を見つけ、訪ねていった。



そこは○○寺という名称にも関わらず、一つのビルだった。



受付を済ませ、見てもらうと、『あなたの場合、天罰、神罰、仏罰のすべてがあるから払うのは大変だ』というようなことを言われた。



『そうですか……』と気落ちしていると、『祓うためには祈祷が必要ですが、それには一日300円の祈祷料が必要です。』



と言われ、『おお、なんて良心的なんだ』と思ったが……




ん?一日300円?





『それでやってもらえるんですか?』





『はい。一日300円で私達が毎日心を込めてご祈祷致します。』




ん?毎日?





『それでどれくらいの期間がかかるんでしょう?』





『はい。あなたの場合、天罰、神罰、仏罰の全てがありますから、30年ほどかかると思います。でも、私達が心を込めてご祈祷しますから大丈夫ですよ。』




30年……1日300円……





『それって一日300円で30年かかるってことですよね?』




『はい。毎日コーヒーを一杯我慢していただくだけで、幸せになれるんです。』





コーヒー1杯300円か……




『それでお支払は……』





『はい。前払いで納めて頂き、確認が取れ次第ご祈祷を開始致します。』





ダメだこりゃ……




1日300円×365×30……




300万は越える……それを一括……




それで本当に祓えるならまだいいが、本物だとは思えない。




俺は、帰ってから考えますと伝えると、その場を後にした。




色々引き留められたが、ここは違うと本能が告げていた。




そしてまた、ム○の情報を頼りに現代のシャーマンを名乗る霊能力者の元へ。




ここでは、見てもらうだけで、初穂料として三万円がかかった。


正式にお祓いするには、やってみないといくらかかるか分からないということを、丁寧に説明されたが、意味はよく分からなかったし、この人が本物だという実感も無かったので、ここでのお祓いは遠慮した。


ただ、お札をくれて、それをトラックに置く歳の塩での清めかたなど教えてくれたので、良心的なのかもしれないとは思った。




結局、それ以上は探すことを止め、不安を抱えたまま、長距離トラックの仕事を続けることになった。




.


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 天罰、神罰、仏罰、って、その世界には天と神と仏が共存しているのか。複雑だな。 [一言] いやいや、祓われた実感があったらむしろ怖い。(笑) 今まで何もなかったら、何も憑いてないと考え…
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