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警告音
その日、俺は日本で有数の寒さを誇る和寒という町に向かっていた。
ここは旭川より更に北に位置し、最低気温は-30℃を越えるという極寒の地である。
俺は前日の夜のうちに道央道の砂川サービスエリアまで走り、朝まで仮眠を取ることにした。
ここのサーピスエリアには、鮭とイクラの親子丼があったので、お気に入りだった。
食事を終えて運転席後ろのベッドに入ったときには雪は降っていなかったのだが、朝目覚めると一面銀世界だった。
夜のうちにかなり降ったようだった。
俺はトイレと洗面を済ませ、フロントガラスに積もった雪を落とすと、出発した。
高速道路の料金所へ入ると、
『ジリリーン!ジリリーン!』
と警告音が鳴り響いた。
『え?』
この時は6トンほどしか積んでおらず、重量オーバーの警告音が鳴るわけはなかった。
積み方にも寄るが、当時のMAXタイプの10トン車の場合、13トンを越える位で重量オーバーの警告音が鳴る感じだったのだ。
鳴るはずないと思って、前方の表示を見ると……
『高さ超過』
犯人は屋根に積もった雪だった。
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