軽でいいだろ
当時俺が働いていた会社で運ぶ荷物は、路線便で流せない大量のロット物。貸切りの荷物。緊急の荷物と、大まかに三種類の荷物があった。
その時の荷物は、緊急の荷物に相当する物だったと思う。
工場や店舗などで、部品や商品などが急に必要になったときの荷物ということになる。
ちょうどその日は荷物が薄く、都内行きの荷物を一件だけ積むことになったのだ。
そして、降ろし地へ行き、小さな問屋の前にトラックを着けると、インターホンを鳴らした。
『○○さんからお荷物です。』
出てきた人は目の前に止まった10トン車を見上げてビックリしていた。
何しろ、高さ3.8メートル、長さ12メートル、MAXタイプの大型車だから、その問屋の前の狭い道路には似つかわしくなかった。
『こんなので持ってこられても、置くとこないよ。』
『大丈夫です。ちょっとですから。』
俺は慌てる担当者に申し訳なく思いながら、ウイングを開き、前方のあおりを下ろした。
覗き込む担当者。
『?……何も無いじゃん……』
不思議がる担当者に荷台の前方を指差して、
『あれです、あれ。』
と言った。
そこにはティッシュの半分くらいの大きさの四角い箱が30個ほど一列に積んであった。
荷台に対してあまりにも小さいので、何も無いように見えたのだ。
『あれだけ?』
『そうです。』
『ビックリさせないでよー。こんなので来るから、何事かと思ったよー。』
気持ちは分かる(笑)
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