ペケ
その日、地元で一日空けになった俺は、九州所属の同僚と街なかをブラブラしていた。
昔から動物好きだった俺は、ペットショップがあると、大体見て回るのだが、その日はブラリと立ち寄った店で、小桜インコの雛を衝動買いしてしまった。
家に持ち帰ってから、自分の仕事を考え、しまったと思ったのだが、もう後の祭。
雛は自力で餌を食べられないので、毎日数回餌をあげたり、面倒をみなければならない。
ところが、仕事柄一度家を出てしまえば、一週間は帰って来ない。
当時はすでに一人暮しをしていたので、面倒をみてくれる人もいなかったのだ。
仕方ないので、仕事に連れていき、トラックの中で面倒をみる事にした。
その結果…
いや~、慣れる慣れる。
四六時中一緒にいたので、凄く慣れた。
運転中はトラックのキャビンの中を自由に飛び回り、高速道路ではハンドルの上に止まって前を見ながらピーチク歌うのが好きで、時々こっちを向いては愛想をふりまいていた。
料金所で、窓を空けても逃げようとしないし、市街地を走っていて交差点を曲がる時など、ハンドルを回すと、ハンドルにつかまったまま、一緒にクルクル回ってピーピー言っていた(笑)
ある時など、ペケ(名前)をキャビンに残したまま荷下ろしをしていると、そこの会社の女の子達がやってきて、
『運転手さん、大変大変!』
て言うから、何かと思ったら、
『運転席で鳥が飛んでる!』
だって(笑)
ペケと一緒の
『日本列島一人と一匹旅』
楽しかったな(^^)
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