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眠気覚まし
長距離トラックの仕事は、一言で言うと睡魔との戦いだ。
眠気を覚ますためなら、あらゆる事をした。
ボールペンで足を刺してみたり、
手形が着く程ほっぺたを叩いてみたり、
『眠いぞ、コノヤロー!』って叫んでみたり。
さすがに猪木じゃないので、『ダーッ!』とは言わなかったが……
他にも、カフェインの入ったコーヒーやコーラを飲んだり、
何か食べながら走ったり、
大音量で音楽を流したり、
当時の同僚の中には、
『眠くなったらセ○ズリしたらよかとよ!
でも、イッたらいけんよ。余計眠くなるけん。』
等と言い、どうやらそれを実践してるらしい強者もいた。
そんな中、なんとか眠気を覚ますいい方法はないものかと思っていた俺は、
こめかみを強く押すと多少目が覚めるのをヒントに
ある方法を思い付いた。
それは、こめかみに千年灸を貼る事た。
熱ければ目も覚めるだろうと思い、早速千年灸を買って、いざ出発!
いよいよ眠くなってくると
『今日はコレがあるから大丈夫だぜ!』
とばかりに、火を着けてコメカミに……
煙くて運転どころではなかった……
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