まさか……
○川急便での激動の四ヶ月間を終えた俺は、休養も兼ねて大阪の親戚の家へ訪れ、露店商の手伝いをしながら数週間を過ごした。
そして、地元に帰ると、○川急便で稼いだ分を使って店外デートをするべく、約半年ぶりに予約電話をかけた。
やっと会える!
しかも店以外で!
はやる気持ちを押さえながら呼び出し音を聞いていた。
…………
『……○○は退職いたしました。』
『え?…………』
…………
まさしく晴天の霹靂。
○川急便へ働きに出る前、最後に会った時には、こんな展開になるとは思いもよらなかった。
店外で会う為の費用を貯めるために○川急便へいくから、しばらく来れない。と話はしていた。
『楽しみにしてるね。』
笑顔でそう言ってくれていた。
勿論、営業スマイルだったのだろうが、ダブルで予約すれば店外で会えるということも、彼女が教えてくれていた。
なのに、突然いなくなるなんて…………
あの四ヶ月間はなんだったのか。
なんのために歯をくいしばって頑張ってきたのか……
しばらくは放心状態で仕事もしない生活が続いた。
自宅は知っている。
会いに行こうと思えば行ける。
でも、突然辞めた理由が分からない以上、迷惑はかけたくなかった。
店外デートの目的。
店以外の場所で想いを伝えること……
会えなくなるとしても、想いだけはなんとか伝えたかった。
でも、それは突然会いに行くことじゃない。
どうしたら想いを伝えられるか……
それを考えながら、とりあえず何か仕事をしなくては。
ということで、昔とった杵柄ではないが、又引越業に専念することになるのである。
のほほんしてないエピソードだが、後の展開の接続詞的エピソードとして、記すことにした。
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