満期退職
長いようで短かった、まるでゴムのような二年間(これ、小学校の卒業にあたって書いた作文の、『長いようで短かったまるでゴムのような六年間~』から引用)
満期日まではだいぶあったが、有給やら夏期休暇やらが重なって、早めに寮を出ることになった。
レンタカーの二トン車を借りての引越。
全て一人でやるつもりだったが、退寮に際して立ち会ってくれた寮管が積み込むのを手伝ってくれた。
大きめの冷蔵庫も一人で積むつもりだったが、まぁ手伝ってくれるならありがたい。
一通り積み終わると挨拶をして、住めば都の寮を後にする。
地元のアパートへ着くと、一人で荷物を下ろしていく。
部屋は一階なので、大きめの冷蔵庫も一人で難なく下ろすことが出来た。
昔とった衣笠……いや、杵柄というやつだ。
……しかし、やっぱりカビ臭い……
地元に帰ったとはいえ、まだ退職日までは日があるので、のんびりと次を探そうと思っていたが、とにかく耐えられないくらいカビくさい。
今度は普通に正社員の仕事を探そうと思ってはいたが、この部屋から通うのは無理だと判断した。
寮付の仕事で、なおかつ引越の費用を貯める事の出来る仕事ということになると、やはり又期間従業員の仕事を探す事にした。
そうなると、日⚪自動車の同僚から聞いていた、待遇のいい『デン⚪ー』の面接を受けることにした。
面接会場にはキチンとスーツを着た人も多く、なんとなくランクの違いを感じさせた。
それからしばらくして、合格の通知をもらい、準備を整えて新幹線で愛知県の安城市に向かった。
今度は長期休暇の度に帰れるような距離ではないので、しばらく帰らないつもりで家を出た……が、最終的な採用決定は、現地で受ける健康診断次第ということだった。
問題なければそのまま寮に入り、仕事が始まるのだが、中には健康診断に引っかかって帰る人もいるという。
勿論、往復の交通費は出してくれるとの事だったが、遠くは沖縄から来てる人も多いとの事だったので、『残念でした』となったときの彼らの落胆ぶりも、推して知るべしであろう。
とはいえ、俺はなんとか健康診断もクリアして、愛知県安城市での期間従業員正割が始まるのだった。
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