空き巣
この時勤めていた〇野自動車は、ゴールデンウィーク休暇、夏期休暇、年末年始休暇と、1週間前後の大型船休暇が年に三回あった。
勤めはじめの頃は、電車で一時間ほどの距離だったので、週末には自宅アパートに帰ったりもしていたが、そのうち面倒になり、大型休暇の時だけ帰るようになっていた。
とはいえ、長期間家を空けるとカビの心配もあったので、寝室の高い窓は少し開けておき、キッチンの換気扇は回しておくのが常だった。
その為、各部屋のブレーカーは落としておくものの、キッチンのブレーカーだけは入れておいたのだが、あるとき20年物のツードア冷蔵庫が壊れた。
この時は粗大ゴミの受付が間に合わなかったので、次に帰ってきたときに出そうと思って、アパートの外に出したのだが、その置き場所が悪かった。
次の大型休暇の時、アパートに帰って部家に入った瞬間違和感を感じた。
電気を付けて各部屋を見回ると、徐々に違和感は大きくなる。
そのうち、足跡のようなものを見つけて、色々みてまわると、無くなっているものがいくつかあった。
まずはカメラだ。
それほど趣味に金をかける訳ではなかったが、カメラは別だ。
市営バス時代、写真部に所属してコンテストにも参加していた位だから、そこそこ金はかかっていた。
そのカメラ。
Canonの一言レフカメラ二台と、その付属品であるモータードライブ等かなり高価な物が無くなっていた。
その他には、当時未使用ののテレホンカードや、趣味で集めていたギザ10(価値のある10円玉)、それを入れていた箱根からくり箱。
あとは何を取られたのかさえ不明だが、確実に空き巣被害に合っていたのだ。
警察に通報すると、部屋中あちこちの指紋を取られたが、その際着けた黒い粉は、そのまま放置された。
どうやら、こちらで始末しろということらしかったが、家具のあちこちが黒くなっているのを、中性洗剤で落としていくのは大変だった。
警察いわく、寝室の外に置いた冷蔵庫を足場にして高い位置にある窓から侵入したらしかった。
その窓も、外の道路に面しているので、まさか誰も入らないだろうと油断していたのがいけなかった。
数日後に、犯人は捕まって、それらしきテレホンカード等は戻ってきたが、カメラは戻ってこなかった。
警察には、保証書があるかと聞かれたが、20年程前に買ったものなので、さすがに残っていなかった。
つまり製造番号など分からないと、売られてしまった場合、探せないということだった。
犯人は常習犯らしく、刑務所に入ってお勤めする
のだろうが、盗られたものは返ってこないというのは納得できない。
出所したあと、負債として返済義務が無ければ、何度でも同じ事を繰り返すだろう。
とはいえ、時期的にフィルムカメラは淘汰されつつあり、デジタルカメラへと移行していく時期だった事もあり、この事件が泣ければ、デジタルカメラへ買い換える決断は中々出来なかったであろうことから、無理矢理良かったと思い込む事にしている。
そーじゃなかったら、やってられるか!コンチクショー!
……という出来事だった。
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