表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
○野自動車 2
129/136

移転先の寮とカタツムリ







新しい寮に移った後、休みの日に周りを散策して歩いた俺は、近くに公園があることに気付いた。



前回の長期休暇で地元に帰った俺は自転車を持ち帰っていたので、その自転車で公園に行き、作ってきたおにぎりを食べながら、ビールを飲んでいた。






すると、どこからともなく鳩やスズメがやってきておねだりをする。




持ってきていたおにぎりやパンなどをやっていると、自分が食べる分が減ってしまった。




それでも、鳥好きの俺には癒しの時間だ。




鳩たちも最初は多少警戒していたものの、すぐに膝や腕に乗って手のひらの餌を直接食べるようになった。




柔らかい羽毛と鳩の体温が気持ちいい。




休みの日に鳩と戯れるうちに、ふと気付いた事があった。




『そういえば、ここ最近何も飼ってないな……』





俺は子供の頃から何かしらペットを飼っていたので、ふと寂しい気持ちになった。




ペットといっても、ここで犬や猫などを飼うのことは出来ない。




そもそも、ペットといっても、子供の頃から小動物に限らず、金魚やクワガタ、カブトムシ、カマキリなど、色々な生き物を飼ってきた。




ここで簡単に飼えるものは何だろう?




とにかく、身近に生命を感じたかったのだ。




そんなある日、雨の日の通勤途中でコンクリートの壁に貼り付くカタツムリを見かけた。




よく見かける大きめのものではなく、小指の先位の小さなカタツムリだった。





すぐに連れ帰っても、飼うための容器が無い。




俺は休みの日にダイソーで小さなプラスチックケースを買うと、次の雨を待った。



晴れの日にもどこかに隠れてはいるのだろうが、わざわざ探さなくても、雨になれば出てくる。





かくして俺は、2~3匹のカタツムリを飼うことにしたのだ。





そして、しばらくたつと、俺はとてもグロテスクな光景を目にした。




いや、カタツムリ達にとっては愛の営みなのだから、グロテスクと言ってはいけない。




カタツムリは雌雄同体で、オスにもメスにもなれるから、二匹いれば繁殖は可能なのだ。




その二匹が生殖器をウネウネと伸ばして絡み合う様は、やっぱりグロテスクと表現するのが妥当かもしれなかった。




気が付くと、プラスチックケースの底に大量の卵が産み付けられていた。




それを見た俺は、小さい容器に拾ってきた土を入れると、プラスチックケースの底に置いた。



すると今度はそこに卵を産み付けるようになった。




そしてしばらくすると、プラスチックケースの壁にゴマ粒の半分位の大きさのカタツムリを見つけた。




そんなに小さくても、よく見るとちゃんとツノを伸ばしている。




か、可愛い!



カタツムリたちはキャベツやレタス、大根や人参など

野菜なら大抵何でも食べた。




特に人参が好きみたいで、あっという間に穴だらけになる。





食欲旺盛、天敵不在。



そして、雌雄同体。




あっという間に繁殖して、気付くと200匹くらいにはなっていたのである。








評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ