イタズラ
露店商では、お好み焼きやたこ焼き、焼きそば等の食べ物の他にも、お馴染みの金魚釣りやヨーヨー釣り等があるが、夏の祭りでは花火を売る店もあった。
俺はその日、おばさんの花火屋の手伝いをしていた。
とても大きな祭りで、通路の両側にはズラッと露天が並び、その間は多くの通行人でごった返していた。
足元も見えないほどの人出の中、いかにも悪ガキという感じの小学生が三人で花火を買いに来た。
彼らが買ったのは、クラッカーボール。いわゆるかんしゃく玉といわれるやつだ。
通常、壁や地面に投げて破裂させて遊ぶものだが、彼らはそれを買うと、店の横にしゃがみこんで、なにやら悪巧みをしているようだった。
何してるんだろ?と思ったが、店も忙しく対応に追われていると、混雑している人混みの中から『パン!』という破裂音と『キャッ!』という悲鳴があちこちから上がり、騒然となった。
悪ガキ達がクラッカーボールを人混みの中に転がして撒いたのだ。
それを知らずにヒールや革靴等で踏むと破裂する。
悪いこと考えるなぁと、ある意味感心してしまった。
こんなイタズラをしても、さしたる問題にならなかったこの頃の方が、ある意味平和だったのかもしれない。
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