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のほほん見聞録  作者: ヒロっぴ
○野自動車
123/136

剛の者





同期の中に面白い人物がいた。



当時彼は俺より年下で、30代後半だったと思う。



熊本出身の彼は、期間従業員になる前は、ハワイで商売をしていたという。



その為英語も堪能だし、何より驚いたのは司法試験の予備試験に受かっているという事だった。




若い頃にはヤンチャもしていたらしく、見た目もどちらかといえばイカツイ。



父親は柔道では名を馳せた人らしく、オリンピックの柔道選手の先生にあたるということで、そのお父さんが亡くなった時には、弟子であるオリンピック選手が泣きじゃくってしまい、大変だったという。




職場はかなり離れていたが、寮が一緒ということもあり、彼は飲み仲間でもあった。




そんな彼は、かなりキツい部署に配属になったと言っていた。



ハンマーを使って製品を叩いていくらしいのだが、一日中その作業をしているせいで、手がしびれて腫れ上がってしまい、ひどいときにはグローブのようになってしまったとのことだった。




そんなに腫れ上がった手を見ても、彼の上司は情け容赦なく作業を続けさせるので、その部署では人が続かず、常に人手不足になっているという。



しかし、彼も剛の者なので、弱音を吐くのも悔しく、グローブのようになった手をいとわず、作業を続けていたという。



なんか、自分が佐⚪急便にいたときの事を彷彿とさせる話なので、感慨深かった。




そんな彼は昼食の時間になっても手は痺れたままで力が入らず、食事を乗せたお盆を持つ手も、震えていたらしい。




そんな弱々しい手でお盆を持ちながら席を探して歩いている時、彼曰く『こいつにだけはやっちゃいけない』という位癖のある社員にお盆ごと味噌汁をぶちまけてかけてしまったという。




ひたすら誤って、作業服を買って行って着替えてもらい、なんとか勘弁してもらったと言っていた。




日々そんな状況で仕事をこなしていた彼は、寮に帰ってきて一日の疲れを癒やすべく、入浴の際に二つある浴槽のうち小さい方の浴槽に、スーパーで買ってきたバブを一箱分投入したらしい。



丁度投入する時には、他に誰もいなかったそうだが、ルンルン気分で入浴していると、古株の社員らしき人がやってきて、怪訝な顔で浴槽をのぞき込んだので、




『だ、誰か入浴剤でも入れたんですかねー。俺が来たときにはこんなんなってたんですよねー。』





と、聞かれてもないのに言い訳をしたと言っていた(笑)





面白い人間はどこにでもいる。








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