30連勤?
三日間の研修を終え、初出勤の日にちを決めると、自転車で一時間かけて仕事先へ向かった。
研修時の話によると、仕事は登録制で好きな日にちを選んで出きるということだった。
引越のアルバイトに似ている。
基本的には日勤と夜勤があり、夜勤の方が給料が高い。
……ということで、初日は夜勤の仕事を選択した。
出勤して説明を受けてみると、この会社は、稼ぎたいだけ稼げる会社との事だった。
近くにいた先輩たちに話を聞いてみると、その人は30連勤しているという。
『1ヶ月休みなしかぁ……』
と、単純に考えていたが、よくよく話を聞いてみると、昼夜通して30連勤だという。
つまり、昼夜通して24時間の勤務を15日間しているということだ。
『え?』
『労働基準法とかは?』
色々な疑問は浮かんだが、違法には違いないが、稼ぎたい人にはうってつけということらしい。
あくまでも本人の申告で仕事が組まれるのだから……
と、思っていたら、初日の夜勤が終わると、その次の日勤と続けて夜勤までがシフトに組まれていた。
三連勤は当たり前ということらしい。
稼がなければと思っていた俺は断る理由もなく、初日の夜勤を終えると事務所にある寝袋で仮眠を取り、そのまま三連勤をこなした。
つまり、初日の夕方に出勤してから、翌々日の朝まで仕事をするということだ。
勿論、36時間働きづめということは無く、それぞれの勤務が終わってから、次の勤務までは仮眠を取れるのだが、1勤務が八時間の定時で終わるわけではないので、仮眠といっても、二~三時間程度だった。
それを30連勤もするとは……
考えただけで恐ろしい。
しかし、実際にしている人がいる……
まぁ、慣れもあるのだろうが……
慣れてもいない上に、初日から三連勤というのは、45の身にはキツかった。
こうして、一回につき三連勤を基本にしながら、次の転職先を探すという日々が続くことになったのである。
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