汗だく入寮式
中学生時代に『空手バカ一代』という漫画に影響を受けた俺は、中学二年生の頃から沖縄空手を習い始め、高校の受験が終わってすぐに、空手バカ一代のモデルになった先生のいる総本部道場へ入門を果たした。
その後、高校卒業と同時に総本部道場の内弟子として、寮への入寮が許可された俺は、その後挫折するとも知らずに、内弟子生活をスタートさせた。
当時は前年に、先生の
『わがカラテ武道教育』
という内弟子をテーマにした本が出版され、その寮がクローズアップされていた。
その為、入寮式にも映画の撮影が入り、照明や撮影機材が入り込んだ物々しいものだった。
特に俺の真横に照明があった為、ダラダラと滝のような汗をかいていたのを覚えている。
その後、俺が挫折中退してからしばらくたってからそれは、
『世界最強の空手
―――――キョクシン』
という映画となって公開されていた。
内弟子をやめはしたものの当時は空手をやめるつもりもなく、その後地元の支部に通ったりもしたので、俺は、友達と連れたって、映画館に見に行った。
しかし、撮影当時の滝のような汗が見苦しかったのか、俺が映っていたのはほんの数秒。
しかも、スクリーンの端だったので、友達は気付かなかったという。
それからしばらくして、レンタルビデオが出たのを見計らい、その時の友達と一緒に見ることになった。
ビデオなら見逃しても巻き戻せばいい。
『ほら、ここ、ここ。』
と言おうとしたら、
ビデオではスクリーンの端はカットされてて、
全く映っていなかったのである。
……おれの青春をかえせ……
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