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当日

妻と結婚して三年。僕は今の生活に特に不満もなく楽しく過ごしている。妻もきっと同じ気持ちだと思ってはいるが自分以外の本心と言うのは得てしてわからないものだ。

 仕事に関しては、決して順風満帆とは言わないが特に不満もなくそつなくこなしているつもりだ。成績だって悪くないんだ。と、どう考えたって異動に変わりはない。だったら今度の部署で自分の全力を出しきるしかないじゃないか!そうだ昴!頑張れ昴!頭で反復しながら自分を奮い立たせていた。

 

「この度営業部より異動となった轟 昴です。ご迷惑をかけると思いますがよろしくお願いします」

 何事も最初が肝心。事前にもらった資料は穴が開くほど熟読した。挨拶も営業受け売りの爽やか好青年バージョンだ。

「わからないことはその都度聞くように。急ではあるが、よろしく頼む」

 僕は部長の言葉に、わかりましたと返事をし頷いた。

「ところで、歓迎会だが週末に予定している。一応主役な訳だから、参加してもらいたいんだが」

 僕は間髪いれずに大丈夫です。と返事をした。

「ありがとうございます!楽しみにしています」

 社会人としてこういうやり取り、最初はできてなかったなぁなんて思いながら自分の席についた。

 席は四人で一ブロックの島が二つあり、僕は部長から一番遠く、入り口に一番近い席につく。

 欠員は新人だったのだろうか?それとも自分自体が新人扱いと言うことなのか……等と考えながら荷物をまとめていた。

「よろしくお願いします」

 不意に隣の席の女性に声をかけられた。一瞬びくっとなり

「よ、よろしくお願いします」

 少しつっかえながら返事をした。男職場で生きてきたから女性への対応は少し苦手である。……いや、たぶん単純に女性だったからだろう。

「五月雨露です。わからないこととかあればなんでも聞いてください。わかることしかわからないですけど」

 五月雨さんはにっこりと笑顔を浮かべて話しかけてくれた。愛想がよく好感の持てる女性だ。そう感じたのは楓以来だった。

「ありがとうございます!ならバシバシ聞いていくんでよろしくお願いします」

 笑顔で返した。

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