表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/13

<暗黒街>

 「逃走犯の逮捕なんて平時にやる市街戦みたいなものだからな。そんな気にするな」


 本部へ帰った後、曹長は俺たちに対してそんなことを言う。エキドナは部長から呼び出しを食らっているので今は部屋に五人だけののほほんとした時間が過ぎていく。


 「でも、二十年前なんて街の交差点という交差点に戦車がいて、人がいようがいまいが戦車砲撃ちまくってましたけどね」

 「だよな、それに比べたら今回のなんて被害がないに等しいもんだ。俺が陸軍の時なんてむしろ楽しんで戦車砲ぶっぱなしてる奴らばっかりだったぞ」


 警部と曹長の思い出話に花が咲いているなか、俺はあの時のことを整理する。

 護送車を潰したのはあらかじめ建物の外壁に転写して書かれていた地属性の魔法陣だったらしい。対魔金属の護送車は確かに魔法を通さないため火も氷も岩も通さない安全な空間だが、物理的に潰されてしまってはひとたまりもない。一応運転していた警官と刺された警官もミミックの治療でケガだけで済んだそうだが、警護対象であった男は助からなかった。

 そしてマンホールが爆発した件だが、周囲のマンホールを調べたところ魔法陣が裏に書かれていて、ゴーレムの召喚地点にもアスファルトと同化するような黒色の魔法陣が書かれていたそうだ。現在ではマンホールを回収し、道路は点検して魔法陣を消しているらしいがそこまで用意しているとは実に用意周到なやつだ。



・・・・・



 翌日、俺たちは別の任務にあたることになった。あの日以降、連絡が取れなくなった例の特別身辺警護隊の行方を調査するためだ。


 「こちらが対マフィア警察のドック警部とキャット警部補だ」


 そう紹介されたのは犬の獣人と猫の獣人である。マフィアが相手である以上本名は明かさないのだろう。


 「先日、マフィアの取り仕切る暗黒街にジャッカルと思われる殺し屋がいるらしいという情報が入ったため、上に情報を上げたのですが状況はご承知の通りです」


 対マフィア警察とは俺たちと同じような警察組織の一員であるが、相手がマフィアであることや襲撃があることから独自に警察署や施設を持っている警察組織である。先日も対マフィア警察の署が襲撃されたらしいがほかの警察組織や警察署を訪れる一般市民を巻き込むことはなかったという。

 そもそも、暗黒街とはもともと街中にあった廃墟群をマフィアが支配するようになったことから始まる。先日のように警察と軍隊が魔法使いと市街戦を行ない、廃墟となったところに犯罪者たちが住み始めて今の状況になったのだ。

 そして厄介なことに様々なマフィアがあるにもかかわらずそのほぼすべてが協力体制にある。市街戦は街のあちこちで行なわれたため様々な場所に点在しており、一つのマフィアが一つの暗黒街を取り仕切っているというのが現状なのだ。当然支配地域は隣り合っていないし、マフィア自体人間や獣人、獣人の種族ごとなどに分かれていてお互いの利益を得たりする場所や事が重なっていない。


 「ここから先はマフィアの支配地域になります。話は通してありますが、むやみな行動は決してとらないでください」


 そういって案内されたジャッカルのアジトは瓦礫の山だった。ドックと共に待ち、キャットが情報収集に走る。情報にどうやら建物ごと急に崩れたらしく、特別身辺警護隊ごと埋まったのではないかと推測される。

 ドックによると救助をするにもマフィアとの調整が必要になるという。こうなると俺たちはもう用済みだ。救助のために来た、若干の機動隊と民間の土木業者と入れ違いに暗黒街を後にすることになった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ