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<市街戦>

 俺は逃げる男の背中に向かって氷の杭を投げつけた。こんな街中では火属性の魔法を使うことはできないし、木属性の魔法だと街頭や車にぶつかる可能性もあり正確に男を狙えるとは思えなかったからだ。


 ボーン!


 しかし、地面から起こった爆発に俺の氷は一瞬で砕かれた。あたりには砂煙が立ち上り、第二の事件現場が出来上がる。しかし、逃がすわけにはいかない。

 視界が確保できると、俺は再び追跡を始める。始めた瞬間には姿を見失い、当てもなくまっすぐ進んだだけだったが交差点で左右を見渡すと一つ隣の交差点に奴はいた。・・・召喚されたゴーレムとともに。

 ゴーレムを召喚できるのは召喚士か魔導書使いしかいない。やはりあいつがジャッカルという男なのだろうか。確か、魔導書使いには二つの召喚方法があったはずだ。魔導書に書かれている魔法陣を使って自分の魔力が届く範囲内に任意で召喚する方法と、魔導書に書かれている魔法陣を召喚の時と同じように任意の場所に好きな大きさで転写するという方法だ。後者の場合、魔導書使いは二度手間になるが召喚士と同じように魔導書がなくても召喚士と同じように召喚することができる利点がある。

 男は俺にゴーレムをけしかけてさらに逃走を図る。こんな街中でゴーレムを野放しにするわけにも行かず、男を見逃してゴーレムの相手をすることにする。


 「おい!状況は!」


 どうするかと考えているとそこにデュラハンが現れた。特に説明することもなく、この状況を見ていろいろと察したようだ。


 「どう思う?」


 デュラハンは俺に問う。少なくとも俺たちでは倒せる相手ではないのは確かだ。ゴーレムは魔法使い二、三人ではどうしようもないからこそゴーレムなのだ。


 「少なくとも、応援が来るまでの時間稼ぎが限界だな」

 「ああ、だがやるしかない」


 デュラハンが気を引いている間、俺は背後からできる限り近づいてゴーレムの足元を水で浸してそのまま凍らせた。しかし、ゴーレムはものともせずに氷漬けにされた足を引き抜き、足を滑らせながら氷の上を歩く。


 「奴から離れろ!」


 俺がデュラハンの声に従ってゴーレムから離れ、彼女がゴーレムの足にツルを巻き付けて一気に引っ張るとゴーレムの巨体が足を滑らして後ろにのけぞる。


 「いけるか?」


 俺は倒れた瞬間に再びゴーレムを氷漬けにするため詠唱を始める。


 ドーン!


 突然地鳴りとともにゴーレムを中心に大きな割れ目ができ、詠唱していた俺は足を取られて尻もちをつく。どうやらゴーレムは背後に倒れると同時に、倒れるときの力を利用して思いっきり地面を殴りつけたようだ。地面だけでなくすでにあった氷も粉々に割り、俺はゴーレムからいったん距離を取る。

 その後、二人で火属性や地属性の魔法を使って攻撃してみるが全く効果がない。岩でできたゴーレムを燃やすことはできないし、岩をぶち当てても貫くこともできないのだ。そして、二人でゴーレムを左右からツルで拘束しようとするがツルをパワーで引きちぎり、手足に巻き付けたとしてもゴーレムとの引っ張り合いで勝てるわけもない。

 もはやこちらからできることが何もなくなりどうしようもなくなった状況だ。幸い周辺の住民は全員逃げ出しているため、これ以上の人的被害は出ないだろう。


 ゴゴゴゴゴ


 不意に地鳴りのような音が近づいてくる。しかし、その音はゴーレムからではなく後ろから聞こえてくる。


 「陸軍だ。行くぞ!」


 デュラハンに声をかけ、俺たち二人はすぐさまゴーレムから離れる。こういった時の対処法は曹長から昔話として聞いていた。


 ドォン!


 物陰に身を隠すと同時に猛烈な攻撃がゴーレムに対して行なわれる。こういった時の対応は昔から戦車なのだ。それからどれくらいの攻撃が行なわれたのかはわからない。再び通りに出たときに見たのは一帯に展開する陸軍とゴーレムの残骸だけだったのだ。



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