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妖斬魔断の抜刀士  作者: ににし
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1:出会いの時

瞳と僕は新幹線で2時間、そこから電車に乗り継ぎ1時間...学校のある町に到着するころには空は茜色になっていた。僕たちはホテルに泊まり。明日の為にと早めに就寝した。


市立明鏡学園高等学校...遡ると100年以上もの歴史を誇り、数多の有名な刀士や鍛冶師を輩出している刀士、鍛冶師の登竜門ともいうべき格式ある学校である。刀士科と鍛冶科に分かれており。僕は刀士科、瞳は鍛冶科に入ることになる。

そんな学校に自分が入学できるのは、この6年の間がむしゃらに努力し続けた結果が報われたのかなと思いつつ校門をくぐる。

「ふわぁ...」瞳が大きな欠伸をする。

「また寝れなかったのか...」と僕が言うと

「だって...この町に来てからさらに刀のことしか考えられなくなっちゃったから...」と目をしょぼしょぼさせながら言葉を返す。

やれやれ...僕は辺りを見回す。他にも入学者らしき人達が歩いている。そのあと校舎の方を眺める。立派な校舎で流石名門と言わしめるような佇まいだと僕は思った。

これから僕はここで刀士になるべく研鑽を詰むんだと思いつつ歩いていると

『ドンッ』

と背後から突然の衝撃、思わず前に躓き転びそうになるのを堪えなんだろうと振り向く。そこには自分よりも身長はある....180くらいだろうか、目つきが悪い男が立っていた。

周りには取り巻きが数人おり、皆自分のことを間抜けなやつを見るかのように笑っている。

「ケンゴ大丈夫!?」瞳が心配そうに語りかけるが「大丈夫だよ」と僕は返す。

「おう、わるいなぁ。のそのそ歩いてたからぶつかっちまったよ。」と悪気など全くなさそうに言う。

「道明寺さんの行く先を邪魔するとかマジありえねーっすわ」「道明寺さんになんて事すんだよ」と取り巻き達が絡んでくる。

(道明寺....もしかして刀士の名家、あの道明寺か!?)

「この道明寺昴様に迷惑かけたんだ、おい、名前を教えろ。」とても名家の息子とは思えないガラの悪さで自分に問いかけてくる。

「吉村...健吾....」と視線を逸らしつつ僕は名乗る。

「吉村だぁ?もしかしてあの吉村か!ハッハッハ!!こりゃ傑作だなぁ!!妖にやられた負け犬の息子かぁ!!」と昴は馬鹿にするような笑い声を上げた。

「アンタ!ケンゴがどんな想いでいるかも知らないで---」と瞳が言いかけたところを僕は彼女の前に腕を伸ばし制止する

「いいんだ...」

「でも...」瞳は心配そうに言う

「そういう風に思う人もいるだろう...気にしなくていい」僕はそう言いつつも必死に怒りを堪えていた。

「へっ!事実だからな、言い返せなくて当然だよなぁ!」取り巻き達も含め昴は笑い、瞳は心配そうに僕を見つめる...


その時

「何してんのアンタ!!」

小柄で赤髪の少女が割って入ってきた。

「今から始業式なのに人の悪口とか情けないと思わない?バッカじゃないの!?道明寺家だからって調子乗りすぎてない!?」

次から次へと少女の口から飛ぶ説教...しかし昴はその少女に対して何の悪びれもせず「あぁん?なんだこのちっこいガキは?」


その瞬間

『メキョ』

少女は昴に対して、拳で金的をした。


僕は呆気にとられ、瞳は思わず手で目を塞ぐ


「次...チビ扱いしたら...コ ロ スから。」彼女は昴を睨む

「ヘアッ!!??」昴はあまりの痛みでその場に泡を吹いて倒れ込んだ。

「昴さん!」「チクショー!覚えとけよ!!」取り巻きたちが昴を担ぎ慌てて逃げていった。


その嵐のような展開で僕は怒りを忘れていた。

「あんた達、大丈夫?かなりズケズケ言われてたけど...」赤髪少女はこちらを向き言った。

「うん...でも今まで言われたこともない事だったけど...人間だし色んな考えもあるだろうと思ってね...でも、止めてくれてありがとう」僕は軽くお辞儀をする。

「べっ、べつにアンタ達の為に制止したわけじゃない!あのチョモランマが煩かったから耐えられなかっただけ!」となぜか頬を赤らめて反論する。

「チョモランマ...」瞳は笑いを堪えるように口を押さえる

「あのエベレストほんと性格ヒネてるわね...どうやったらそんな風に育つのかしら...?」少女が首を傾げてるのを見ていると


『キーンコーンカーンコーン...』

予鈴が鳴り始めた

「あっ!もうこんな時間!?急がなきゃ...アンタも遅れないようにね!」と少女は走って行ってしまった...


「やれやれ...僕達も行くか...」「そうね...まさか入学朝からこんな事になるなんて...これからどうなるのかな...」と瞳は不安げに言いながら僕達は歩き出す。


この少女との出会いが、僕の人生を変えていくとはこの時思ってもいなかった...

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