エドワードという男1
・お読みいただき大変感謝しております
実はこの話をどこに入れるか大変迷ったのですが、ここが一番しっくりくる為一旦完結を外してこちらにはさみます。
2,3話で終わりますのでよろしくお願いいたします。
フィルド王国騎士団の団長であるルイスは今日もウォルセアの一件の後始末の為に事務仕事に追われていた。
本来、自身にあまりこういう事務仕事は向いてないと思いながらも職務を放棄するわけにもいかず、懸命にペンを動かしている。
そんな時トントンと扉を叩く音がした。
「入れ」
「失礼いたします」
と入ってきたのは、義息子であり従卒兼騎士見習いでもあるレイであった。
「ルイス様、エドワードさんからお手紙が届いております」
「そうか……そこへ置いておいてくれ」
「はい! それとお茶もお持ちしましたので少し休憩されてはいかがですか?」
「もうそんなに時間が経ったか……ありがとう、少し休憩しよう」
ルイスはレイにお茶を入れてもらいながら、手紙へと目を通し始めた。
「エドワードさん達は今どちらにいらっしゃるのですか?」
「あぁ、ウォルセアにあるダンジョンの都へと移動してるようだ」
「ダンジョン?」
「そうか、レイの住んでいたエルピス国にはダンジョンはなかったな……ウォルセアのダンジョンというのは、別名『地下迷宮』とも呼ばれていてな、様々なモンスター達が住みついている場所なんだ。そこには貴重な素材などが沢山あるらしくてな、冒険者達はそれらを採取してお金を稼ぐことができるんだよ。
そして、その奥深くまで潜れば、珍しいアイテムなどを見つけることもできる」
「そんなすごい場所があるのですね!」
レイが目をキラキラさせながらルイスを見ている、そんな様子に苦笑しながら
「だが、ダンジョンの中は常に死と隣り合わせだ。いつ魔物に襲われるかもわからない暗い穴倉を、延々探索するのはつらいと思うぞ」
「そ、そうですよね……でもそんな場所に行くなんてエドワードさん達大丈夫なんでしょうか……?」
しょんぼりしながらも心配そうなレイ。
「心配いらないさ、あいつらの強さは俺が一番よく分かってるからな」
そう言いながらルイスは、レイの頭をポンポンと撫でる。
「そういえば、ルイス様はお二人とは子供の頃から仲が良かったんですか?」
「あぁ、俺が10才になるかどうかって頃からだから結構な年月だなぁ」
ははは、と笑うルイス。
「アドルファスさんは……なんとなく想像がつくんですけど、エドワードさんてどんな感じだったんですか?」
レイは好奇心に駆られてつい訪ねてしまう。
「あー……あいつは、めちゃくちゃ捻くれた子供だった」
「えっ!今のエドワードさんからは想像もつきません……」
その言葉にルイスは苦笑いで
「アイツは子供には徹底して甘いからなぁ、レイがわからんのもムリはないか……」
ボソリと呟いたが、良く聞こえなかったのかレイはキョトンと首を傾げている。
そんな会話の後、レイはお茶を入れ終わると部屋を出て行った。
一人残ったルイスは当時のエドワードの複雑な立場を想い出すのであった。




