表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
元国王さまと元宰相さまの諸国を漫遊しにいくはなし  作者: 流花@ルカ
第二章 聖女選抜の儀編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/53

執事と令嬢と騎士見習い

 毎度おなじみの訓練場。


「今日の鍛錬はこんなもんかな、かなり動けるようになってきたじゃねぇか?」


と珍しく他人(ひと)を褒めるアドルファス。


「アドルファス様のご指導のおかげですわ」


とニコリと笑うキャサリン。 


 鍛錬という名のダイエットを始めて五か月が経とうとしている現在、アドルファスの無茶苦茶だとしか思えない指導のおかげなのかキャサリンの体格も、無駄な肉がかなり削ぎ落され相当引き締まってきていた。


ほっそりとはまだまだ言えないが、ポッチャリよりの太目といったところだろうか。


「じゃあ俺は行くとこがあるから適当に昼飯でも食ってからエドの所へ行ってこい」


「わかりました、では失礼いたします」


 淑女教育も少しづつ実を結んでいるようで、元々多少は下地があったおかげか大分所作も洗練されてきたようだ。


「やっと豚人間から令嬢への階段のぼり始めたみてぇじゃねぇか」


と後姿を見ながら呟くアドルファスであった。



* * *


 昼の時間には少し早かったがキャサリンは昼食をとりに騎士団詰め所にある食堂へと足を延ばす。 

すると


「あの……すみません、キャサリン・ブサイーク様でいらっしゃいますか?」


と問いかける声がする。 ぶしつけになんなのかと思ったが癇癪を起こしそうになったら、深呼吸してもう1回考え直すという教えを実践してガマンした。


「突然申し訳ありません、ぼく……私は騎士見習いのレイ・バーグと申します。キャサリン様でお間違いないでしょうか?」


と少年が問いかけてきたので


「ええ、そうですけど何か御用かしら?」


「はい、キャサリン様に伝言を預かってまいりましたのでお伝えするためにお声がけさせていただいたのです」


と少年はにっこり笑いかけてくるので、先ほど起こしそうだった癇癪も引っ込んだ。


「そうだったのですか。 それはわざわざありがとう、伝言を聞かせてくださるかしら?」


「はい! エドワード様より侯爵家から執事のウォルター殿がいらっしゃっているので午後は一緒に部屋へくるようにとの事です」


「ウォルターが?」


「はい、お部屋でお待ちだそうですのでご案内いたします」

と少年が腕を出してエスコートしてくれるようだ。


「ではお願いいたします」


とキャサリンはニコリと微笑んだ。



* * *

 案内してくれたレイと別れ部屋へ入ると、長年自分の専属執事として働いているウォルターが美しい所作で礼を取り出迎えてくれていた。


「お嬢様、お久しぶりでございます。 僅か5か月ほどでこれほどの変貌をとげるとはこのウォルター想像も致しませんでした」


とキャサリンへと笑みをむける。


「ありがとう、ウォルターも変わりなさそうで何よりです」


と侯爵令嬢にふさわしい所作でウォルターの前に立つ。


「中身も随分と変貌なさったようですね、あのお二方が保証してくださらなかったら別人と入れ替わったのではないかと疑う所ですよ。 あと、お嬢様」


「なにかしら?」


「試験合格おめでとうございます」


「試験?」


「ええ、お嬢様は騎士見習いの少年にいきなり声をかけられたのでしょう?」


「何で知ってるのかしら?」


「それが試験だそうです。 突然の出来事にも癇癪を起さず対応できるかどうかと、身分の下の者に対してむやみに尊大な態度を取らないか反応を見るとおっしゃられていました。」


その言葉に驚くキャサリン、感情のままに癇癪を起さずよかった……と内心胸をなでおろす。


「そのご褒美に、お嬢様のお好きなものをふんだんに使ったお食事をご用意しておりますよ」

と笑顔でウォルターはキャサリンをテーブルへと促す。


「り、量は控えめでお願いね?」


「勿論でございます、お嬢様の努力を無駄にするような真似はいたしませんよ?」


と給仕の仕事にとりかかるのであった。



・キャサリン嬢がレイ君にひどい態度取った場合はアドルファスブートキャンプに即逆戻りさせられる予定でした。

まぁレイ君は天然ホンワカさんなので早々ひどい態度取りにくいだろうという微妙な優しさもあったり……w

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
外伝?『異世界から召喚された聖女は腹黒眼鏡のおっさんでした。』 完結しました!
   ここをポチるとなんとエドワード達が聖女様の代わりに異世界へ!
 
  『元国王さまと元宰相さまの諸国を漫遊しにいくはなし2(ダンジョンの都編)』こちら不定期更新の続編です
   ここをポチると不定期更新の続編へ!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ