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元国王さまと元宰相さまの諸国を漫遊しにいくはなし  作者: 流花@ルカ
第一章 召喚勇者編

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ショカンシタの現状推測

「……なるほど、大体のことは分かった。 で、私はなにをすればいいのだ?」

と、ルイスはエドワードへ問いかけた。


「貴方に一番頼みたいのは先ほどのレイ少年の保護ですね、勇者の方はいずれ諸国へ事情説明などもしなくてはいけませんし、城で保護していただくのが一番ですがあの子は貴方に預けるのが最善と思いまして」


と、ニコリとルイスへ笑いかける。


「ショカンシタへそのまま戻すわけにもいきませんし、貴方が後見人として養子にしてくださるのが一番の解決法なんですが」


「養子か……あの子なら妻も喜ぶかもしれんな……それにアルド殿の魂が安心して旅立てよう…………わかった。 レイ少年のことは任せろ、他にはなにかあるか」


少し遠くを見て思案していたルイスはエドワードを見た。


「この手紙を後任の宰相へ、後は上手くやって下さると思いますので」

とルイスへと手紙を渡した。


「お前たちはこれからどうするのだ?」


「とりあえず私はマーゴとかいう工作員の方と()()しさせていただく予定です。 下っ端という影の話は本当だったようで、彼女うちの影に寝ている時に薬かがされてもピクリとも反応しなかったそうですよ」


ノンビリと話すエドワード


「薬?あぁ夜中にコソコソ動き出さないようにか」


「はい、ついでに荷物も調べさせましたので証拠はそれなりに、後は一応彼女の証言もいただこうかと」


「ショカンシタの暗部は、よくそんな下っ端に一人で仕事させようと考えたものだな」


「恐らくですが、人手不足なんじゃないでしょうかね。 あの愚王気に入らないとすぐ消そうとしますから、お気に召さない報告をうけた愚王がどうするかなんて予想がつきますよね。 実行部隊のほうも余計なリスクを負いたくない人間ばかりでしょうから自然と下っ端にまわってきたのではないですか」


「なるほど、愚王に忠誠を誓いたいものなどおらんからな」


「そういう事です、それにショカンシタは『一国で勇者召喚する』ということがどれだけ無謀なのか今回で思い知ったでしょうから、あの愚王についていく者などもうほとんどいないんじゃないですか」


「それほどの代償がひつようなのか?」


「ええ、あの魔法陣の封印を解くだけでも莫大な魔力を必要とするそうですし、魔法陣が活性化すると勝手に人間の生命力を大量に吸収し出すのだそうです、前回は大陸中から人手を集めて何日もかけて行ったために死者はおりませんでしたが、今回はショカンシタ単独で行っていますから最低でもあの国の人口の7割位は犠牲になったと見た方がいいと思いますよ」


「なっ!? 7割だと! なぜ他国に気づかれずにそんな大規模なことができる!」


「なぜ気づかれないとおもうんです?」


「はっ?」


「ショカンシタの周辺国はショカンシタの国力を恐れていました。そんな国の人口が7割へったんですよ、指くわえてみているだけだと思いますか?」


「秘密裏に軍を派遣していると?」


「本当に切れる頭をもったトップがいる国なら警戒しつつ静観するでしょうね、愚王はバレるなんて考えもしてなかったようですが、遠からず条約違反で大陸中から制裁を受けることは分かり切っています。ただ欲をかいた国がどうでるのかは私にも分かりません、バカの考えることは予測が難しいですから」


難しい顔をしたルイスはだまってエドワードの話を聞く。


「幸い、このフィルドはショカンシタとはそれなりに距離が離れていますから、そこまで影響はないでしょうがこの先あの国と周辺国がゴタゴタするのは目に見えています、それを最小限に抑えるのが恐らくアドルファスの考えてる事だと思いますよ」


ルイスが不思議そうに尋ねる。


「なんでアドがそこまでしなくてはいけないんだ?」


「ゴタゴタを解決しないと条約会議で『勇者の返還の儀式』が可決されないからですよ」


「アドは召喚勇者を帰すためだけに面倒にまきこんだのか?」


「恐らくマサタカ師匠の為でしょうね……こんな事師匠は望んでませんでしたから」


「それは……! うむ……確かにこの件は俺たちがやらねばならんな『勇者マサタカ』の弟子として見過ごすわけにはいかん」


とルイスはエドワードを真剣な顔で見つめた。


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