マドリード上空にて
「うわー、思ったより高いなあ。」
ここは高度2000メートル。眼下にはマドリードの街が広がる。
「・・・・・ヤバイ、ちょっとビビってきたかも。」
彼はダイナマイト太郎。高校2年生だ。今年から川越の高校に転校する。今日はその初日だ。
「・・・・うーん。ヤバイかも。サボっていいすか?(笑)」
ーダメです。
「・・・マジすか。マジ怖えーんすけど。・・・・・・・。」
無言になってしまった。180センチという恵まれた身長。大人びた端正な顔立ち。だがしかし彼はまだ高校生なのだ。
ー今日の目標とかありますか?
「・・・目標・・・ええ目標ですか?・・・・・・・・・・・。ぶつかることすかね、せっかくダイナマイト咥えてるんで、なんでもいいからぶつかっていって、爆発して、そこでなんか化学反応なり、新しいなんか、出会いみたいなものが見つけられるといいすかね・・。」
もう時間だ。外国人の機長が英語で少し苛立たしげに告げた。
ダイナマイト太郎は覚悟を決めた様だ。先程の怯えた表情はもうない。
「・・・っし。いってきます。・・・あっ、じゃっ、ありがとうございました。また・・どこかでお会いしましょう。ええ、ああ、すいません。はい。じゃっいってきます!おし!飛びます!!うりゃっ!!」
ダイナマイト太郎はダイナマイトを咥えると、またたくまに空の下へ、小さくなっていった。
青い空を突き刺さす逆光が我々の視界を捉えた。今日こうして、そうして明日も、ダイナマイトを咥えて若い志が空に咲く。
頑張れよ。そう呟く口元に、流した覚えのない涙がそっと落ちていった。




