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推理の後に、女子トーク

三話連続投稿です。3/3話目


 校舎前で車が止まる。


「はい、ついたよ。降りる前にみっちゃんは番号教えてね。あ、君のはいらないから。何かあったらみっちゃんを通して僕に伝えてね」


 げっ、まだ粘るか。

 しかも未だに「みっちゃん」呼び。

 悪寒がして体が拒絶する。

 それに創也の番号はいらないだと。

 本当に部員にする気あるのだろうか。


「教えるまで車のドアは開かないよん」


 自由を人質に取られた。選択肢は無いようだ。


「どうぞ」


 投げやりに携帯を渡した。


「あははははははは!! おじいちゃん携帯だ! 初めて見るなあ!」


 デジャビュを感じた。

 コメントはいいから、早く番号を交換して欲しい。

 そして速やかに帰るのだ。


「お互い暇では無いと思うので、早くしましょう」


 効き目は分からないが、テレビ男に早くするよう促す。


「あはははは、今日はよく笑うなあ。はい、番号入れといたよ。気が向いた時にかけるね」


 おいおい、話が違うぞ。

 お互い放置じゃなかったのか。


 もういい、電話がかかってきても、でなければいい話だ。


 まずは一刻も早くこの空間から抜け出そう!


「送って頂きありがとうございました。さようなら」


 速やかに創也と車からでた。

 テレビ男が手を振っているが見なかったことにして、途中まで創也と帰る。


「創也、今日はありがとう。またお礼が貯まったね」


「まあ、そばにいることしかできなかったけどな。あんまり力になれなくてごめん」


「ううん。創也がいてくれたから冷静に落ち着いて話せたよ。あの人と話してると頭がおかしくなりそうになるの。だからすっっごく助かった!」


「そっか。またいつでも言って?」


「うん、じゃあ、私はマジックの準備に取り掛からないと。また明日ね」


「ほどほどにな。また明日」




 その後、寮に帰り、スキルを使って急ピッチで予定を終わらせた。


 日々のカロリー摂取とスキルの使用頻度は今のところ、バランスが取れているようだ。


 じっちゃんの店で食べるご飯は美味しかったけど、じっちゃんの胃でも食べやすいあっさりしたものが多かった。それもあってか、スキル使用時はたくさんの食べ物が必要だったのだ。


 その頃に比べて、寮でデラックスプランの食事を申し込んだおかげか、スキルを長時間使用した時になくなる非常食の量が格段に減ったのだ。売店で食料をたくさん買わなくてよくなり、お小遣いが浮いて大変助かる。


 だが今回は少し無理をしたので空腹でまた死ぬかと思った。

 非常食の非常食を常備しておいて正解だった。


 それもこれも、テレビ男が来なければもっと余裕を持って終わらせられたこと。


 よし。これ以上あれには関わらないようにしよう。



 初授業の日の夜、私はそう心に決めた。



 ****



 本格的にスキルを使ってやることを終わらせ、明日の爆発マジックの準備に取り掛かる前、私は明菜と夕飯を食べていた。


「ねえ、道奈。あなた入学式の時もそうだけど、今日もすごく目立ってたわね」


「んー。目立ったと言うか、勝手に見てきたと言うか」


「はああ。あまり女子の反感を買わない方が身のためよ。本田さんのこととか、寮で会っても適当に流してるでしょ」


「反感? 買ってないよ。あと、あの失礼な女の子は気にしたら負けだと思ってる」


 失礼な女の子、もとい、本田さんは寮で会うたびに何かしら言ってくるが、それだけなのである。


 危害を加える気は無いようなので、毎回聞く振りをして右から左へと流していた。そうすると怒ってどこかにいってくれるから、概ね問題は無い。


 それにしても、女子の反感と本田さんと何の関係があるのだろう。


「全然自覚がないようね。あたしの予想通り、中等部が荒れ出してるわ。まだ初日でこの有様よ。これからがどんどん面白くなりそうで楽しみだわ!」


 私のことを心配しているかと思いきや、楽しみだした。

 いまいちわからないことを時々明菜は言うなあと思う。


「まあ。何かあったら、言うのよ? 力になれるものはなってあげるわ」


 よくわからないが、そんな時が来たらよろしく頼もう。


「そうだ。明菜に聞きたいことがあったんだ」


「なに? どうしたの? 林道様と何かあった?」


 創也と喧嘩なんてしてないぞ。私たちはとても仲の良い友達なのだ。


「そうじゃなくて、見た目の良い男子をみると女の子って騒ぎ出すものなのかな?って気になった」


「そりゃあ、イケメンがいたらきゃーってなる子もいるわよ」


 見た目の良い男子のことをイケメンと呼ぶのか。


「なんで?」


「なんでって」


 昨日、クラスで創也達が自己紹介する時、女子達は嬉しそうに騒いでいたのだ。声色からお近づきになりたいという気持ちが伝わった。でも、


「イケメンを見て騒いだからって仲良くなれるわけないじゃん。騒ぐ意味がわからないの」


「え、いや、仲良くなるために騒ぐんじゃないわよ。イケメンが見れて興奮して騒いでいるのよ」


 イケメンは興奮剤か何かか。


「明菜もイケメンを見ると興奮するの?」


「んー、あたしは眼福って心の中で思うだけね。恋人もいるし」


「え、明菜、恋人いるんだ」


 初耳である。


「そ。ふふふ、羨ましい?」


 初耳で少し驚いたが、


「興味ないかな」


「バッサリいくわね」


 興味はないが、


「明菜、今、恋愛をしていて楽しい?」


「そうね、楽しいか楽しくないかだと、楽しいわ」


「そっか。さて、ごちそうさま。私今日はやることがたくさんあるから、先に部屋に戻るね」


「えぇ、おやすみ。――――恋愛が楽しいか、ね」




 最後の明菜のつぶやきは私には聞こえなかった。


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