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爆発マジック

三話連続投稿3/3話目。


「え? 親睦会?」


 入学式まであと2日と迫った日の夕食前、明菜から親睦会があるから参加しないかと誘われたのだ。


「そっ。三階にいる子達でこれから仲良くしましょうっていう、ちょっとしたパーティーをするみたいよ。各階で日を分けて毎年新入生が来るたびに行う恒例行事、とか言って三年の先輩が仕切ってたわ」


 楽しそうだ。

 まだ同年代の子しか話せていないしな。

 よりたくさんの人に出会ういい機会だと思う。


「行く! どこで? 何時から?」


「夜の9時から2時間、食堂で。管理人の木本さんからは深夜12時までには綺麗に片付けて部屋に戻るってことで許可はもらい済みみたいよ。食べ物や飲み物を各自持って来ること。あと、簡単に自分の特技を一つみんなの前で披露しなきゃいけないのがあたしたち新入りの通過儀礼らしいから。何か考えといて」


 自分の特技…ついに披露する時がっ!


「教えてくれてありがとう! それまで練習する! ちなみに明菜は何を見せる予定?」


「あなた、何か隠し持ってそうね。親睦会が楽しみだわ。あたしは適当にあとで決める予定よ」


「わかった! あとでね!」


 そしてお披露目の練習をするために、明菜と別れて部屋に戻った。




「では、第58回フロア3の親睦会を始めたいと思いまーっす!」


 とてもノリノリな三つ編みの子が司会を始めた。


「わあああああああ」


 隣の助手らしき人が無感情に両手を上げて盛り上げよう(?)としている。


「ワタクシ、今年で中等部3年になりまして、先輩から次の幹事役を受け継ぎました、早乙女詩織と申しまっす。そして、こちらが次の幹事役最有力候補の中等部2年、落合美鈴。落合が無表情なのは不機嫌だからとかじゃなくて、表情筋がもともと死んでるだけだから、新入り諸君、安心するように!」


 うむうむ、と隣で神妙に頷く落合美鈴を見て本当に表情筋が死んでいるのだと理解する。

 そんな人いるんだな。


「まっ、難しい話は置いといて、とりあえず。かんぱーい!!」


「「「かんぱーい!!」」」


 周りを参考にしながら私も飲み物の入ったコップを持って上に掲げた。


 そして賑やかにワイワイと言いながら、みんなが飲み出したのを見てから、私も飲む。いつでも私は麦茶派だ。


「プハーーーっ、さて、早速今回の新入りの通過儀式、自己紹介アーンド一発芸からお願いしよう!」


 そして、明菜、風香、その他の同年代の子達が司会者の早乙女詩織に当てられた順番で自己紹介と特技を簡単に披露していく。


 ちなみに、明菜は『ポップコーン、お口DEキャッチ』を披露、風香は怪我防止の為に日々ストレッチをした集大成である関節の柔らかさを披露した。風香のはもはやびっくり人間だった。


「じゃ最後に、そこのあなた! 自己紹介と一発芸よろしく!」


 そして最後が私の番となった。


 テーブルを囲む私以外の9人の女の子たち全員が私に注目する。


「どうも、312号室の荒木道奈です。マジックやります!」


 今回披露するのはびっくり系マジック。


 師匠の魔術師キッドみたいに派手なものがかっこいいのだ。


 テーブルから少し離れて、椅子の上に乗る。



 そして、学校でのマジック初公演スタートだ!



「レディース、エーンド、マドモアゼル!」


 元気よく、人を惹きつけるように話す。



「今から一瞬でいろんなものをたくさん出します!」


「「「「?」」」」



 状況についていけなくて、

 何を言っているんだこの子はという観客の表情には気づかず、

 私はマジックに取り掛かった。


 椅子の上でしゃがんで丸くなる。

 

 準備体勢だ。


「スリー、ツー、ワン」


 その体勢のままカウントを開始して、

 勢いよく立ち上がりながら両手を広げて呪文を唱える!



「ジュテーーーーム!!!」



 ドカーン



 と私の懐の前で柔らかい爆発が起こって、


 煙の中からたくさんの物が現れて空中で舞う。


 色のちり紙。

 色々な色のリボン。

 花びら。

 消しゴムのカス。


 カラフルな雪が降っているようだ。なんて綺麗なんだ


 観客のところまで飛んだらしく、みんなの頭にはリボンやちり紙が乗っている。



「「「……」」」



 しばらくみんなが感動と驚きで固まっている。ように見える。


 そうであろう。

 急に色々なものがたくさん現れるなんて、そんなかっこいいこと誰が想像できるだろうか。


 私である。


「ちょっと! 今の音はなに?! 何があったの?!」


 爆発の音を聞いて管理人の木本さんが駆けつけてきた。

 同じく、他の寮生の子も何事かと顔を覗かせている。


「…すみません、木本さん。この子がマジックで爆発を披露したみたいで、散らかってしまいました」


 早乙女さんが木本さんに説明した。


「爆発!? 何か火のものを使ったの!?」


「どうなの? 荒木さん」


 みんなの目が私に集まる。


「マジックのタネは教えられませんが、火も火薬も使ってないです。ただの化学反応というやつです」


 ここまでの話、これは『理科マジック』という類のものからヒントを得て考えついたものだ。これ以上は言えない。マジック生命の危機に関わる。


 それよりも、私は今、叱られているのか?


 でも寮生活での注意事項に『マジックをしてはいけない』とは書いてなかったはずだ。

 使った材料も些細なもので危険な物ではなかったし。


 いけないことをした気がしない。


「寮内での爆発マジックを今後禁止します。全部綺麗にしてから部屋に戻るように」


 異常はないと確認できたようで木本さんは帰って行った。

 なんてことだ。爆発マジックを禁止されてしまったぞ。


 他の寮生の子達はまだ興味津々でヒソヒソ言いながらこちらを見ている。

 だが今はそれに気にしてる場合ではないのでスルーだ。何が原因で叱られたのか考える。




 ふむ。……散らかしたのがまずかったらしい。




「ごめんなさい。散らかしてしまいました」


 ただみんなを驚かせようと思っただけなのだ。

 悪気もなかったのだ。

 思わず落ち込んでしまう。


 そしたら風香が抱きついてきた。


「しょんぼりしてる道奈ちゃんも可愛いなぁ。でも元気だしなよ。マジックは、なんというか、マジックというより、うーん、可愛かったよぉ!」


 風香よ、それは励ましてるつもりなのか。


「片付けるの手伝うわよ。びっくりしたけど、滅多に見れないものを見させてもらったわ」


 明菜が手伝ってくれると言ってくれた。

 マジックも好感触の感想だ。

 嬉しいな。好きだな。


 少し気分が上がる。


「はあ。そうね。本当にびっくりしたけど、インパクトは歴代一位に匹敵するかも。それに一発芸で爆発を起こしたのは荒木さんが最初で最後になりそうだあ」


 幹事役の早乙女さんは、もうどうとでもなれと言った空気を漂わせながら、冗談交じりに言ってきた。


「ナイスショッキングマジック」


 親指を立てて表情のない顔を私に向けながら何か言ってきた落合さん。

 抑揚がなさすぎて彼女が何を言ったのかよくわからなかった。


 他の子達もポツポツと私のマジックのフォローを言ってくれた。


 褒められているというよりは慰められているという印象だ。


 私が想像していたみんなの反応とは違うぞ!



 今から反省会だっ。



 の前に片付けかっ。



 こうして、私は爆発マジックを披露した過激な女子生徒として、私の名前が寮内から外へと広まり、入学する前から中等部の間で知られるのであった。



次回、やっと入学式に入ります。

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