厨二病では無い話。
『魔法』『ドラゴン』『魔獣』『精霊』『エルフ』『獣人』――。
これらを聞いて、地球の人は何を思うか。
『ファンタジー』『空想の産物』『神話』――。
この辺りが、主に考えつく妥当な答えであろう。
さて、突拍子もない話になるが、私は地球ではない別の世界で生まれ、10年間そこで育った。
どんな世界か、と問われた時、先程の妥当な答えを元に説明すると、
『ファンタジー』な世界となる。
…大人が今みたいなことを言うと、『厨二病』だと疑われるそうだ。
事実を話しただけで精神の病を患っていると思われるなんて、恐ろしい。
こういう時は、当時の自分がまだ子供で良かったなとつくづく思った。
話を戻そう。
つまり、私は地球の人にとって異世界人に部類されるが、そう言いふらすと『厨二病』として精神病院に連れて行かれる恐れがあるため、そのことを隠して日本で過ごしている。
というのが、今の私の現状だ。
そして、安心してほしい。
物語にあるような、魔法を街中でぶっ放すとか、異世界の力を使って世界征服とかは塵ほども考えていない。
私は良識のある乙女なのだ。
魔法をぶっ放す前に、地球では魔法が使えないことが既に判明している。
それに気づいた時、ここが自分のいた世界では無いと知ることができたのだ。
魔法は使えなくなったが、スキルは使えるようだった。
生まれた時からすでに備わっているもの
頑張って習得するもの
常に作用しているもの(パッシブスキル)
スキルにはこの三つの種類がある。
前の世界で当時10歳だった私がどうやってスキルを習得するかなど知る由もないので、「言語補正」と、生まれた時から持っている「超集中」と言うスキルしか持っていない。
スキル「超集中」:スキル使用時、通常使用する脳みその割合を15%上げて、設定した対象に集中する。
これは地球について勉強するのにとても役に立った。
・ とても燃費が悪いのでこのスキルを使う時は必ず手元に食べ物を置かないと、空腹で倒れてしまうこと。
・ 使用中は感情が抜け落ちてしまうこと。
この二つが難点だが、うまく使いこなせていると思う。
そしてもう一つ、
言語による隔たりが地球に来てからも感じなかった。スキル「言語補正」が常に働いていると日本に落ちて初めて気づいたのである。
文字は読めなかったので、一からスキル「超集中」を使って習得した。
日本に来て早10年――。
前の世界で過ごした時間と同じくらいの時を日本で過ごしたことになる。
それまで、常識の違いなど様々な葛藤も交えつつ、色々なことを経験して学んだ。
特に、彼と出会って日本の学校に通い出したのを境に、私の穏やかだった日々が一変して荒れ模様に変貌してしまったことが印象的である。
騒動に巻き込まれるわ。
事件は起こるわ。
失礼な輩に絡まれるわ。
一難去ってまた一難。
……私は空を眺めながらのんびりと過ごしたいだけなのに。
そんな、日本に来てからの10年間で印象に残ったことを他の人の視点も時折交えて記したのがこの話だ。
内容は全て私の実体験ではあるが、『厨二病』と疑われないために以下の表記を入れておく。
※この物語はフィクションであり実在の人物団体とは一切関係ありません
ここまで読んでいただきありがとうございます。
連載版は初投稿となります。
次回は時系列が最初に戻ります。
拙い文章ですが、ストックがある限り、毎日更新しようと思います。
どうぞよろしくお願いします。