水素と酸素を混ぜたら、爆発しますか?
皆さんは『爆縮』という言葉を聞いたことがあるだろうか。
日常生活で使われることはないと思うが、爆発の圧力を使って物体を圧縮する技術のことである。物体を火薬で取り囲み全方向から一斉に点火すると中心に向かって爆風が伝わり物体を一瞬で圧縮できるのだ。
この技術は長崎型原爆の起爆に用いられていることで有名である。
ところで、先日とあるブログ上で、爆縮という言葉について次のような主張を発見した。
「水素と酸素を混合し、火をつけると水になる。このとき、水のほうが元のガスより体積が小さいので、爆発的に収縮する。これを『爆縮』という」
この主張は間違っている。そもそも爆縮の意味さえ知らない人が書いているに違いない。
しかし、この主張を目にして次のような疑問が発生した。
「水素と酸素を混ぜたら本当に爆発するのか?」
実際に水素と酸素を混ぜたら爆発することはTV番組や中学校の理科の実験などで確かめている。一方で水のほうが元のガスより体積が小さいことは、高校で化学をやればわかる。
この矛盾は一体どういうことなのだろうか?
この文章はこの問に答えるために生み出された。
この問の鍵を握るのは「熱」である。
水素と酸素が反応し水蒸気になるとき、1gあたり13.4kJの膨大な熱が発生する。この熱は水蒸気の温度を7000℃まで上げることができる。
こうして、高温になった水蒸気は膨張する。つまり、元のガスより体積が大きくなるということである。
こうして、「水素と酸素を混合し、火をつけると爆発する」ということがわかり、疑問は解決された。だから皆さんも安心して爆発させてほしい。
※爆発には大変な危険が伴いますので確実に安全を確保した状態で行ってください。爆発の結果生じたいかなる事象も私は関知しません。悪しからず。