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標本室

空席

作者: まや A035624
掲載日:2026/09/27

誰かがいた場所に

椅子がある

椅子はひとつ

窓から差す日は

変わらず椅子を照らしていた



そこにいた人だけがいない

空の椅子を見て


誰か座らない?


それは声にならず

椅子を引く音がして

誰かが座れば

笑い声がして

いつもと

変わらないように見える




違う



からっぽのまま


毎日そこを見なくてもいい

誰も座らなければいい

埃が積もって

色が変わって

傷もいつか

見えなくなるかもしれない


誰かを座らせて

言い聞かせなくていい

大丈夫って


もし、いつか

あの椅子に

誰かが座っていたことを

思い出す日が来たら


そのときは

確かに

ここにいたんだ、と。

少しだけ笑えばいい


そこにいた人が

いたままでいられるように

戻ってこなくてもいい


わたしと星が椅子を見ている



誰も座らせない


誰かじゃ嫌だから


その椅子は

空っぽのまま


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― 新着の感想 ―
誰かがいた、今は空の椅子。でもそこに、誰かが確かにいたことを、忘れたくない、なかったことにはしたくないという想いがとても伝わってきました。 社会の中では、誰かがいなくなれば、代わりの誰かがその場所に…
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