世界が灰に染まった日-2
最初に気づいたのは、
街灯の下で見た “色の消失” だった。
信号の赤は冷えた灰色にくすみ、
車のライトも看板の光も、色を失った亡霊のようだった。
人の気配だけあるのに、そこに “色” という概念は存在しなかった。
すべてが灰に沈んだ世界で
俺だけが一人、取り残されたようだった。
生きているのか死んでいるのかもわからない。
ただ “生きる屍” になったような感覚。
心臓は動いているはずなのに、拍動は何も伝わらない。
その夜、俺は “確実に終われるはずの方法” で自分を消そうとした。
人間なら一瞬で “生の境界” を越えられるはずのやり方だった。
だが、結果は同じだった。
痛みはなく、衝動すら残らない。
身体どころか、終わりそのものが俺を拒んだ。
ーーーーー死ねない。
苦しみさえ届かない。
ただ胸の奥で、暗い虚無が静かに増えていくのを感じた。
やがて感情も消え去った。
怒りも、悲しみも、寂しさも、喜びも。
すべてが一つの灰になって溶けていった。
そしていつの間にか、
俺は自分を “道具” だと認識するようになった。
ただ命令を受け、標的を消す。
それだけなら、無色の世界でも問題はない。
どんな任務でも淡々とこなした。
死ぬことがないのだから、緊張も恐怖もなかった。
俺は灰色の世界を彷徨い続けた。
読んでくださりありがとうございます。
次回の投稿は未定ですが、絶対書きます。よろしくお願いします。




