表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!  作者: 秦江湖


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

9/73

冷血公爵

密書の内容


「……ほう」 玉座の間に、ルシアンの低い声が響いた。 側近たちは、主君のその一言に身をこわばらせた。


彼らは、ルシアンが「ほう」と言った時が、最も予測不能であることを知っている。


ルシアンは、リステン家からの密書を指で弾いた。


「皇太子を蹴って、俺に会いたい、か」 側近の一人が進み出た。


「公爵様。これは、罠です」


「罠?」


「リステン家は中立派の筆頭。皇太子アランが喉から手が出るほど欲しがっている財源です。その家の娘が、なぜ我らに?」


「皇太子殿下の婚約内示を保留、というのも怪しい。我らを油断させるための偽情報かもしれません」


側近たちの意見は「罠」一色だった。



※※※※※※※※※※※※※※※



側近たちの分析


「リステン侯爵が、娘をスパイとして送り込み、我らの内情を探ろうとしているのでは?」


「あるいは、皇太子アランの差し金か。あの男ならやりかねん」


ルシアンは、玉座に深く腰掛けたまま、目を閉じて側近たちの議論を聞いていた。


「公爵様、いかがなさいますか。当然、この申し出は拒絶なさるべきかと」


「……」 ルシアンは目を開けない。


側近たちは、それが主君の不快のサインであることを知り、口をつぐんだ。


静寂が広間を支配する。 やがて、ルシアンは静かに口を開いた。


「……アランの罠だとして、なぜリステン家(財力)という駒を、あの男が使う?」



※※※※※※※※※※※※※※※※



ルシアンの分析


「……と、申しますと?」


「アランは、俺を潰したい。それは事実だ。だが、そのために帝国一の財力を持つリステン家を、わざわざ危険に晒すか?」


ルシアンは立ち上がり、窓辺へと歩く。


窓の外には、雪に覆われた領地が広がっている。


「アランは、リステン家の財力を無傷で手に入れたいはずだ。その家の娘を、俺という『怪物』の元へ送るなど、アランのやり方ではない。リスクが高すぎる」


ルシアンの金色の瞳が、獣のようにギラリと光る。


「……つまり、これはアランの策ではない。リステン家が、独断で動いている可能性が高い」


「なっ……では、なぜ?」


「知らん。だが、理由は二つに一つ」


ルシアンは指を一本立てる。


「一つ。リステン侯爵が、娘の『皇太子妃』という未来に、アラン本人以上の価値を見出せず、娘を皇太子から遠ざけようとしている」


彼は二本目の指を立てる。


「二つ。その娘……エリアーナ・リステンが、よほどの『アバズレ』か『愚か者』で、皇太子にすら見捨てられそうになり、最後の賭けとして俺に媚を売ろうとしている」


ルシアンは、どちらにしても愉快だと、口の端を吊り上げた。



※※※※※※※※※※※※※※※



ルシアンの決断


「公爵様、しかし……」


「罠ならば、乗ってやるまでだ」


ルシアンは、側近の言葉を遮った。


「あの皇太子アランが、わざわざ『リステンの娘』という駒を使ってきた(と俺に思わせている)か、あるいはリステン家が本気でアランから離反しようとしているか。どちらにせよ、帝都でよほど都合が悪いことが起きている証拠だ」


彼は、玉座の間の壁に飾られた、父の世代から続くヴァレリウス家の紋章を見上げた。


アランの父である現皇帝によって、無実の罪で殺された、自分の両親を思い出す。


「それに……」


ルシアンは、密書に記された「エリアーナ・リステン」の名を指でなぞる。


「皇太子の婚約者を横から奪い取る、というのは、なかなか愉快な余興だ」


彼は側近に向き直った。


「会ってやる。その女が、どれほどの覚悟で俺の前に顔を出すのか、見極めてやる」


ルシアンは、会談を受諾する旨の返信を、リステン侯爵家に送るよう命じた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ