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処刑台の皇妃、回帰して復讐を誓う ~冷酷公爵と偽りの婚約者~ おまえたちは許さない!  作者: 秦江湖


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憎悪の鎖を断つ

ルシアンの足元の薪は既に炎に包まれていた。


炎の熱が、憎悪の空を焦がしていく。


「いやだ!」



私は、悪魔王の嘲笑を無視し、処刑台の上から、ルシアンが磔にされている十字架の炎の中へ飛び込んだ。


「エリアーナ! 馬鹿な!」


ルシアンが絶叫した。


「お前まで焼かれる必要はない!」


「私が行かなければ意味がないのよ!ルシアン!」



炎は熱い……。


ここは精神の世界で、これは物理的な炎ではない。


十分にわかっていながら、魂が焼かれるような激痛が走る。


「ルシアンを 助けて! 悪魔王!お願い!」


私は炎の中で悪魔王に叫んだ。



*************



悪魔王の最後の誘惑


悪魔王は歓喜した。


炎の熱が、私の憎悪を掻き立てるのを感じた。



『そうだ!エリアーナ! 憎め 憎め!』


『ルシアンを助けたいのなら、憎悪で己を満たせ!』


『憎悪で満たせば、貴様は永遠に私の契約者だ!』



悪魔王は、私の魂に直接囁きかけた。


私の脳裏に憎しみの炎が燃え上がる。



アランの冷酷な目。


イザベラの嘲笑。


「おまえたちは許さない!」



私の憎悪を凝縮した思いが、魂から溢れそうになる。



(いや、違う!)


(私は、もう誰も殺さない)


私は炎の中で、自分の憎悪と戦った。



*************



愛の宣言


「もう誰も憎まない!」


私は炎の中で叫んだ。


「アランもイザベラも!悪魔王である、あなたも!」



「馬鹿な!」


悪魔王が驚愕した。


「私が憎むべきは、憎悪に囚われた過去の私だけ!」


「ルシアン!あなたは私の憎悪を赦したわ」


私は炎の中で、十字架に磔にされたルシアンに縋りついた 。



「私の全てを赦し、受け入れてくれた!」


「憎悪の鎖を断つのは憎悪ではない!」



私は憎悪を昇華させた。


強い「愛」と「許し」を込めて、ルシアンを抱きしめた。



「悪魔王!あなたも――、私も、ルシアンも、全てを受け入れる!!!」


憎悪の炎の熱が消えた。


私の体を焼く炎の熱を感じなくなった。



*************



抱擁と憎悪の崩壊


「エリアーナ……」


ルシアンが炎の中で静かに私の名を呼んだ。



炎が、一層に激しく燃え上がる。


しかし、熱さを感じることはなかった。


これは「憎悪」による炎だから。


私は、たとえ炎で焼かれようとも、最後の瞬間までルシアンとつながっていたい、触れ合っていたい。



この炎も私の憎悪。


その炎を凌駕するのも私の愛。



それは「愛」で「憎悪」を包む思いだった。


その思いが、憎悪の炎を凌駕したのだ。



鎖が外れる音がした。


憎悪の鎖が融解したのだ。



ルシアンは十字架から解放され、私を強く抱きしめた。


私たちの「炎の中で抱き合う姿」を見て、悪魔王の魔力が崩壊し始めた。



「馬鹿な……! 人間如きの愛で、私の憎悪が……!」


悪魔王は、信じられないものを見るかのように、深紅の瞳を見開いて、私たちを見ていた。


「愛の力が憎悪を超えたのよ。悪魔王。人は憎悪を断ち切ることはできなくとも、大きな力で包み込むことができる」



私はルシアンの胸に顔をうずめた。


憎悪の世界が、瓦礫のように崩れ去っていく。








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