真実の処刑台
憎悪の根源
憎悪の渦を抜け、私たち最深部にたどり着いた。
そこ空が漆黒に染まった空間だった。
足下は瓦礫のような岩でできている。
その中心にはただ一つ、光を放つ巨大な「何か」がそびえ立っていた。
「あれは……」
それは崩壊したはずの、大聖堂の瓦礫から再構築された、私を処刑した忌まわしい断頭台だった。
「ルシアン」
「ああ 間違い ない エリアーナ お前の『始まりの景色』だ」
断頭台の周囲には、憎悪に満ちた幻影の民衆が渦を巻いている。
悪魔王は、私の憎悪を最も満たした瞬間を、永遠に再現し、力を得ているのだ。
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悪魔王との対峙
「よく 来たな エリアーナ」
悪魔王が姿 現した。
彼は断頭台の上に悠然と立っていた。
「貴様らの命を諦めさせた時が、魂の最高の収穫時だ」
「諦めないわ!悪魔王」
私は憎悪に打ち勝つ決意を込め、悪魔王を睨みつけた。
「私は復讐の憎悪を捨てることはできない。こうして自分の奥底を見て、一度撃ち込まれた憎悪の楔は抜けることがないことが分かった。でも あなたの 餌には ならない」
「ほう?」
「ルシアンもそうよ。彼の憎悪は、彼の両親を守るための盾となった。あなたの燃料にはならない!」
悪魔王は軽蔑するように笑った。
「愛か。信念か。 貴様らはいつも、その曖昧な概念で私の力を侮る……。ならば 証明してやろう!それがいかに脆弱であるかをなあ!」
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ルシアンの磔
悪魔王が指を鳴らした途端、ルシアンの体が突如として黒い鎖で拘束された。
「ルシアン!」
ルシアンは抵抗する間もなく、処刑台の横に立てられた、巨大な十字架に磔にされた。
「くっ……!」
ルシアンが苦悶の声を上げる。
「ルシアン! 幻影よ 惑わされないで!」
「幻影では ないさ」
悪魔王が私に囁いた。
「この鎖は貴様らの『憎悪』そのものだ。貴様らが互いを信じきれない瞬間があればあるほど、鎖は固くなっていく」
悪魔王はルシアンの目の前で掌に炎を灯した。
「どうだ小僧。貴様の両親も、こうして磔にされて処刑されたのだ。身をもって思い出したか?自らの憎悪の原点を」
「き、きさま……!」
ルシアンが怒りの目を、悪魔王に向けた。
「エリアーナ。貴様が憎悪の鎖を断ち切るには、貴様が憎悪を捨てなければならない」
「だが、貴様が憎悪を捨てれば鎖は解けるが、貴様は私との契約を破棄したことになり、魂は私のもの」
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最後の真実
「貴様の憎悪こそが、この世界を創ったのだ。エリアーナ!」
悪魔王は歓喜に満ちた顔で、私に最終的な真実を突きつけた。
「貴様の処刑台での、あの憎悪が私を呼んだのだ」
「貴様が私を招いた。故郷だ。ここで貴様は永遠に囚われる!」
悪魔王の掌の炎が、薪に燃え移る。
ルシアン足に炎の熱が届き始めた。
「エリアーナ! 逃げろ! 俺の ことは いい!」
ルシアンが 叫んだ。
「嫌よ!」
私は処刑台の階段を駆け上がった。
(憎悪に囚われたままでは終わらない)
(この世界は私の始まりの景色よ)




