摂政公の重荷と政治の再編
摂政公の誕生
ルシアンは、皇帝の玉座ではなく、臨時に設置されたリステン侯爵家の長テーブルの中央に座った。
彼の前に並ぶのは、憔悴しきった中立派貴族たちと、かつてアランに仕え、命からがら逃げ帰った貴族たち。
「私は摂政公としてこの場を預かる」
ルシアンは冷徹な声で宣言した。
「帝国の治安は最優先で回復させる。貴族は領地へ戻り兵を収めよ」
彼の威圧感に貴族たちは誰も反論できなかった。
ルシアンは、帝国の混乱を収束させるために、迅速かつ合理的な命令を次々と下していった。
**************
秩序の確立と反対意見
「しかし、摂政公。我々は貴族会議の正式な承認を得ておりません」
アランに仕えていた一部の貴族が、恐る恐る異議を唱えた。
「陛下のご子息や、血縁者が帝位に就くべきではないか?」
ルシアンは、その貴族を冷たい金色の瞳で一瞥した。
「皇太子は怪物と化し、皇帝陛下を殺害し、帝国を破壊した。それでも貴様らは皇族の血統に縋るか?」
「血統に縋る者は、悪魔王の餌になると知るべきだ」
ルシアンの威圧感と、事実の重さに貴族たちは言葉を失った。
**************
エリアーナの外交力
エリアーナがルシアンの横に立ち、静かに口を開いた。
「貴族の皆様。摂政公は帝位を望んではおりません」
「彼は、憎悪の連鎖を断ち切り、帝国を救うという責任を負われただけです」
エリアーナは中立派の貴族たちに語りかけた。
「私、リステン家の財力を使い、帝都の食糧と負傷者の治療に当たります。貴族の皆様も、領地の財力を投じ、摂政公の復興計画に協力して頂きたい」
彼女の、リステン侯爵令嬢としての説得力と、戦争の英雄としての実績が貴族たちの心を動かした。
誰もエリアーナの提案に反対できなかった。
**************
新体制の発足
ルシアンは迅速に、臨時政府を樹立した。
彼は帝国の政治権力を集中させながらも、エリアーナを筆頭に信頼できる貴族たちを登用し、権力の分散も行った。
アランの独裁とは違い、ルシアンの統治は合理的かつ厳格だった。
帝都の治安は驚くほどのスピードで回復し始めた。
エリアーナは ルシアンの 「摂政公妃」として、政治の表舞台に立ち、彼の唯一の相談相手となった。
二人は契約婚約の枠を超え、真の帝国再建の共同統治者となった。




