帝都の混乱
パニック
皇宮から 溢れ出した「魔物(アランの眷属)」は、 瞬く間に 帝都の 市街地を 蹂躙し始めた。
「いやあ!」
「助けて!」
民衆は パニックに 陥り、 唯一の 安全な場所(聖域)である、 大聖堂へと 殺到した。
「門を 開けろ!」
「中へ 入れてくれ!」
だが 、大聖堂の 広場には アランが 置き去りにした 、五万の「正規軍」が まだ 立ち往生している。
兵士たちも 、突然の 魔物の 出現に 混乱し、 指揮官を 失った 軍隊は もはや 烏合の 衆だった 。
民衆と 兵士が 入り乱れ 、広場は 大混乱に 陥った。
「ルシアン! 大神官様!」
私は 大聖堂の バルコニーから その 惨状を 見下ろした 。
(どうする)
(このままでは、 民衆が 魔物に 殺される前に 味方(正規軍)の 混乱で 圧死してしまう)
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ルシアンの「掌握」
その時 、「開門!」 と、ルシアンが 大神官に 叫んだ。
ルシアンは 瘴気の 呪いから 解放された ばかりの 体で、 すでに 彼の 黒い 軍服を 身に まとっていた。
「ルシアン! あなた 体は!?」
「寝ている 場合か!」
ルシアンは 大聖堂の 門を 開けさせると、 彼が 北から 連れてきた 十数名の「影」と共に 広場へと 躍り出た 。
「兵士たちよ! 聞け!」
ルシアンの 覇気に 満ちた 声が 混乱する 広場に 響き渡った 。
「!」
指揮官を 失っていた 正規軍の 兵士たちが、 一斉に ルシアンの 姿を 見た 。
「貴様らの 主君は 悪魔に 魂を 売り 怪物と なった!」
ルシアンは 剣を 抜き 、皇宮から 迫り来る 一体の「魔物」を 一刀両断に してみせた。
「おお!」
兵士たちが その 圧倒的な「武勇」に どよめく 。
「だが 貴様らは 帝国の 兵士だろう!」
「……」
「神(大神官)は 見ているぞ! 悪魔に 帝都を 明け渡すのか!」
「!」
「帝都を 守りたい 者は 俺に 続け!」
ルシアンは そう 叫ぶと 一人 皇宮へと 突撃しようとした。
「うおおお!」
「ルシアン公爵 万歳!」
「俺も 続くぞ!」
指揮官を 失っていた 正規軍の 兵士たちが 、ルシアンの「カリスマ」に 引きつけられ 次々と 彼に 続いていく 。
ルシアンは ほんの 数分で、 敵だったはずの 五万の軍隊を 完全に 掌握した。
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エリアーナの「指揮」
私は 彼の 見事な 手腕に 見惚れていた。
(でも 私も 私の 戦いを)
軍隊が 皇宮へと 向かった だが、 広場には まだ 大勢の 民衆が 残っている 。
「大神官様!」
私は 大神官に 指示を 仰いだ。
「聖堂の 地下を 解放してください!」
「うむ!」
「神官たちよ! 民衆を 地下へ 誘導せよ!」
大聖堂が 巨大な「避難所」となった。
だが 市街地には まだ 逃げ遅れた 人々が いる 。
「エリアーナ様!」
そこへ 南から 帝都に 駆けつけていた 、アンナと 父(リステン侯爵)が 合流した 。
「お父様! アンナ! 無事だったのね!」
「エリアーナ! 説明は 後だ!」
父は リステン家の 私兵を 率いていた。
「私に 兵を 貸してください!」
「何?」
私は 父から 馬を 奪い 、アンナから 弓と 矢を 受け取った。
「私は この 帝都の 地理を 全て 把握しています」
「それで!?」
「ルシアンが 皇宮にいるアランを 討つまで、 私が この 帝都の 防衛を 指揮します!」
私は 父の 私兵と 、正規軍の 一部(後方部隊)に 叫んだ 。
「東の 商業区は 袋小路よ! 魔物を そこへ 誘導し 火矢で 殲滅します!」
「西の 貴族街は 水路を 使って 民を 聖堂まで 運びなさい!」
私は 1周目の「知識」を 総動員し 的確な 指示を 飛ばし始めた。
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帝都の「英雄」
兵士たちは 最初 、私(魔女と 呼ばれた女)の 指示に 戸惑っていた。
だが 、私の 指示が あまりにも 正確で、その上、 被害を 最小限に 抑えるのを 目の当たりにした。
そして、 次第に その 指揮下に 入っていった。
「す すごい」
「あの エリアーナ様が まるで 将軍の ようだ」
「魔女では なかった」
「あの方こそ 我らの 聖女だ」
ルシアンが 皇宮でアランと 戦っている 間、 私は 帝都で 民衆を 守り、 魔物の 残党を 掃討していた。
かつて「魔女」と 呼ばれた 私は、 今 や帝都の 民衆を 守る 「英雄」として 戦場を 駆けていた。
憎悪のためではなく 、守るべき 民のために。




