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秋音、言い争う

今日はこれも投稿しちゃうぜうぇいうぇい

「あーね、おしょいねぇー」

「ほんとですね。どうしちゃったんだろ、、、、」

もうとっくに日が出ている。二人は既に朝食を食べているというのに、何時まで待っても秋音が下へ降りてこない。

勿論、原因は徹夜の読書なのだが、二人は知らない。

「うーん、、、。御飯食べ終わったら見に行きましょうか」

「うん!あたちもいく!」

元気いっぱいのキキラは、持っていた匙を上に突き上げた。

「こら、お行儀が悪いですよ!」

「あ、ごめんしゃい」

ぴしゃりと叱られ、キキラが匙を置いた。

怒られて謝りはするが、悪怯れる素振りは見せないキキラ。

いつものことながら、少々図太すぎやしないか、と最近メイカの頭を少し悩ませている。

「はぁ、一体誰に似たのかな、、、」

ボソボソと呟くメイカだが、それが自分だという事には全く気が付かない辺りがそっくりである。

そうこうしているうちに食べ終わり、二人は秋音の部屋へ向かった。

コンコン、とメイカが扉を叩く。

「アキネ様、起きてくださーい」

「、、、、」

何も反応が無い。思わず顔を見合わせる二人。

「あーねぇ、おきてー!ごはんたべちゃうよぉー!」

「、、、、」

まだ反応が無い。

「うー、、、もう!はいっちゃうかりゃね、あーね!」

焦れたキキラが扉を蹴破る程の勢いで向かって行くので、メイカがばっと扉を開ける。

「おきろー!」

「そうですよ、起きなさーい!」

二人が同時に叫んで部屋に入ると、秋音の姿が見えなかった。

それもそのはず、秋音がいる筈の寝台には本が山のように積まれており、向こう側が全く見えないのだ。

「あー!あーね、おきてー!」

ひょうひょいっと本の山を乗り越えて寝台の上に登ったキキラが大声で言った。秋音を見つけたようだ。

「うぅ、、、う、るさ、、、い、、、、。」

もぞもぞとキキラの足元が動き出した。

「うるしゃくない!もうおきにゃいとだめなのぉー!」

もぞもぞ動くものに顔を近づけ、キキラがまた叫ぶ。

「う、うわぁぁぁっ!?、、、、あれ、ききら?めいかも?」

がばっと寝台から起き上がる秋音。

ようやく起きた人型の狐に大きな溜息をつきつつ、メイカが文句を言い出す。

「もう、起きるの遅すぎです。もう私達は朝御飯食べちゃいましたよ?とっくに日が出てるんだからしっかり起きて下さいよ。それにあんなに私達が叫んでも起きないなんて流石に図太すぎますし、第一この本の山は何ですか?もしかして一晩中読んでたとか言いませんよね?」

ビクッと秋音が小さく跳ねた。

座ったまま跳ねるなんて器用な事をしているが、今はそれどころでは無い。

「あ、いやー、その、、、、」

歯切れが悪くなり、目が物凄く泳いでいる。

一目瞭然な秋音の態度に、メイカがまた深い溜息をついた後、目をぐわっと吊り上げた。

「もうっ!一晩中本を読み続けるなんて止めて下さい!寝不足が祟って体を壊したらどうするんですか!」

「ひゃぁっ!ご、ごめんっ!」

平伏さんばかりの勢いで秋音が謝る。

「二度と夜通し本を読むなんてしないで下さいね!分かりましたか?」

それを聞いて秋音が凄くショックを受けている。

「え、で、でも」

「でもじゃないっ!」

雷が落ちた幻が見える程の声でメイカが叫ぶ。

秋音は勿論、思わず叱られていないキキラまで飛び上がった。

「アキネ様はまだ小さいのですよ!?徹夜なんてしようものなら、すぐに体を壊して、、、!」

死んでしまうかもしれない。

こちらを心配する気持ちが痛い程伝わってきて、秋音は黙り込んでしまった。

精神は十九歳ではあるが、体は幼い子供なのだ。徹夜に耐えられるとは限らない。

「、、、、うん。分かった、、、、。」

しばらく悶々と悩んだ後、渋々、本当に渋々ではあるが、秋音は首を縦に振った。

「はぁ〜。分かればよろしい」

恐ろしい声は跡形もなくなり、メイカは優しげな声音で言った。

二人共ほっと胸を撫で下ろし、顔を見合わせて笑った。

「あ、あと、その、お願いがあるんやけど、ええ?めいか」

怖ず怖ずと言う秋音。

「何ですか?」

くるっと振り向いてそう言うメイカは、いつもと変わらない。

そのことに少し安心しつつも、秋音は言った。

「も、森の奥に行ってみたいんやけど「駄目です」」

すぐにぴしゃりと言われてしまった。

だが、それくらいでへこたれる程秋音は柔じゃない。

「せめて、せめてなんであかんのか教えてや」

何とか許可を貰おうと食い下がる。

「森、特に奥には魔物がいます。魔物は危険で、恐ろしいんですよ?テリトリーに勝手に入ったり、木の実や草を採ったり。それだけで襲い掛かってきます!知らなかった、では済まされません!それに、人だって捕食されるんです、まだまだ小さくて強くないアキネ様を奥に行かせることは出来ません」

メイカも強く拒否する。

「でも!この前街へ行く時は森を突っ切ったけど、平気やったやんか!」

「あの時は私が付いていました!それに、魔物がいない場所のみを通ったんですよ!」

段々と言い争いのようになり、キキラがおろおろしながら見ているが、二人は気付かず続ける。

「ふぅん、ならめいかが付いて来てくれたらええやん」

「私が目を離した時があるでしょう!それに、もしSランクの魔物に囲まれたら、二人を守り切れるかは五分五分ですよ!」

Sランクに囲まれても生き残る確率が五分あるとか、さらっと凄い事を言っている。


「所でえすらんくってなんや?」

「魔物の中で一番強いランクのことですよ!もう、そんなんじゃぁ無理ですね」

「うー、、、。ほなわっちが魔物の習性やら覚えて、更に自分で身を守れる位強かったらええんか?」

「出来るならいいですよ!でも、私がしっかりチェックしますからね!」

「ええで、どんとこいやわぁ!」

「言いましたからね」

「分かっとる」

「「、、、ふん!」」

睨み合った後、二人同時にそっぽを向いてしまった。

子供っぽい動きの上、同時というのが如何にも仲良さげで、何とも言えない。

「あ、キキラも行きたいって言うんなら、同じ条件を達成して貰いますからね」

「え!?、、、わ、わかったよぉ、、、、」

まさかの飛び火。キキラも森に行きたかったらしく、シュンとしている。

「もう!ほら、早く下へ行きますよ!御飯です!」

「はぁい、分かってんで!」

喧嘩腰で言いつつもちゃんと会話している辺りが微笑ましい。

子供心でもそれが分かって、あははとキキラが笑ったが、二人に睨まれてしまった。


「うーん、、、、。どないしよう」

朝食をとった後。秋音は部屋の寝台の上で呟いた。

魔物の知識はすでに少しある。眠りもせずに読んだ図鑑や魔物が起こした事の事例がしっかり頭に入っているからだ。

だが秋音が悩んでいるのは、もう一つの条件の方だ。

「魔物を倒せる程強く、、、。」

秋音は非力な幼子だ。強い、と言ったら刀や武士のイメージしか無い秋音にとっては、こちらの方が百倍難問である。

うーん、うーんと唸っていると、コンコンと扉を叩く音が聞こえた。

「ん、なんや?」

「あーね、ききら!いーれーてー!」

内緒話をするような小さめな声でキキラが言う。

「あぁ、ききらかい?どうぞ入っとぉくれやす」

ガチャリと音を立てて扉が開く。

キキラは入って来るなり扉を閉め、キョロキョロした後、疲れたとでも言うようにふぅっと息を吐いた。

「ど、どないしたんや?そないなこそこそと」

「しーっ!おねちゃんにばれたら、おこられちゃうかも!」

口に指を当て、しーっと言うキキラ。秋音も納得して、あぁ、と頷いた。

「ほんで?何の用や?」

秋音も声を潜めて聞く。

「えっとね、あたちはまものがこわいってことくらいしかしらにゃいから、まもにょをもっとおちえてもらおうとおもったにょ」

秋音は、成る程と思う反面、あれ?と思った。

「わっち、魔物について知ってるなんて言うたかいな?」

秋音は、メイカに「無理だろう」と思わせて条件を通し安くするため、魔物については知らないふりをした。

なのに見抜かれた?

「んー、だって、いったないよぉ?でも、しらなくってできにゃいならそんなことやくしょくしないでしょぉ?」

秋音は瞠目した。

秋音と違って、キキラは正真正銘の三歳児だ。だが、ここまで分かっているとは思わなかった。

「ききら、、、あんた、賢いなぁ」

「んぅ?へへー」

嬉しそうに笑う姿は年相応で、秋音は何となく安心した。

同時に、もしかして!と閃いた。

「あっ、なら、わっちも教えて欲しい事があるんやけど、、、ええ?」

「んー?いいよー!なぁに?」

キキラは快く言ってくれた。

「力があらへん人でも出来る、強い攻撃って知ってる?」

「うーん、、、、。あっ!」

キキラのアホ毛がピコーンと立った。

「まほうとかってどぉ?」

「!魔法、、、、!」

秋音はしたり顔で呟いた後、寝台に積まれたままの本の山を漁り出した。

「あ、あーね?どうちたの?」

キキラが驚いて見つめているが、そんなことお構いなしで漁る秋音。

「はい、これ魔物の図鑑」

キキラの方を見ずに、ひょいっと分厚く重たい図鑑を投げる。良い子は真似してはいけない行動だ。

「わわっ!ありがとぉ、あーね!」

ナイスキャッチしたキキラがにっこり笑って言うが、「んー」としか言わない。

「これだ!」

キキラがビクッと跳ねた。

いきなり叫んだ秋音が持っていたのは、本屋の男がくれた魔術書だ。

「ふふふふふ、、、。これで、森に入れる、、、!」

魔女のような笑みを浮かべ、ニタァッと笑う秋音にキキラがプルプル震えている。

「こ、こわぁい、、、、。でも、まほうかぁ。しょれならあたちもできりゅかも!」

すぐに気を取り直し、グッと両手を握るキキラ。

「よぅし、頑張るでー!」

「おー!」

二人で手を突き上げ、気合を入れる。

それから、一緒にどんな魔法を覚えるか、どうやって練習するのかなどをきゃいきゃいと相談し始めた。


その声を下で聞きつつ、メイカはちゃぶ台に突っ伏していた。

「、、、はぁ〜。二人には、キキラには、普通の女の子としての生活を送って貰うだけでいいのに、、、。」

ぶつぶつと独りごちるメイカ。

「まぁ、でも、強い分にはいい、よね。冒険者の女の子も、普通だし。、、、よし、いつかそうなる日のためにも、二人の可愛くて動きやすい装備を作ろうかな!」

起き上がって頬杖をつきながら、どんな風にしようかなー、と思案する。

メイカが考えている服を二人が着るのは、そう遠くない未来の事だ。

言い争いをしてても、同時にぷいってしちゃうとか、会ったばっかなのに仲良すぎて可愛いですよね!ね!!(親馬鹿)

精神年齢は大体七歳差なので、秋音にとって年上のお姉さん的な存在なんでしょうね。

きゃー、頼れる姉貴だー!

いやーほんと三人とも可愛いです。ビジュもいい。

あ、決して幼女趣味じゃ無いですよ。これからの成長も書きたいので幼女にしただけです。

ちびっこを慈しむ心は持ち合わせてますけどね


見てくださった方、ありがとうございます。

次回、「秋音、特訓する」です。

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