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夏花  作者: 八花月
14.訪問者たち
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「え? え~どうでしょう?」

「僕たち、待宵屋敷に来るの初めてなので……」


「あたしちょっと前までアイドルやってたんだ。そこそこ有名だったんだぜ。どう? 良く見ると美人だろ?」


「いえ! 初めて見た時からずっとそう思ってましたよ~!」


「僕たち、あ、アイドルには詳しくありませんので、ちょっとわからなかったんですけど、ホント、もう、なんでこんなきれいな人が案内をやってるのかな、と内心ずっと疑問で……」


「なんだ~! 調子いいなお前ら!」


 乙女は上機嫌で二人の背中をバンバン掌で叩いた。


「あ、痛い、痛いです」

「本当に力強いですね~……」


「ああ、わりぃ。まあ、じゃ、そういうことで。いいよな? 頼むぞ」


 乙女から念を押され、峻と冬絹は神妙な顔で頷いた。もう断れる雰囲気ではない、と観念した顔である。


 乙女は、意気揚々と萩森と雅樂のところに戻ってきた。


「いやー、悪かったね。待たせちゃって。大した用事じゃなかったんだけど」


「それはよろしいのですが……わたくしたち、何かすることはございませんの? お客様がいらっしゃるのに……」


 雅樂は心配そうに学生たちをチラ見している。


「あー、うん。大丈夫。色々するみたいだからほっといたほうがいいよ」


「でもトイレの場所くらいは教えてあげといたほうが……」


 萩森もまだ不安そうだ。


「あーそだね。はぎもっちゃんお願い」


「お風呂などは……」


「あ、風呂ね……。おーい! お前ら風呂入るか? あたしが使ってるやつだけど」


 乙女が学生たちに声をかけると、


「いえ! え、遠慮いたします!」

「僕たち、今日は片時もここを離れたくないので!」


 と、妙に緊張した声音で返事が返ってきた。


「そっかー。タイル貼り直したから綺麗になってんだけどな」


 乙女は、残念そうに言い二人に背を向ける。


「そんじゃ、なんかあったら呼んでね。あたしら管理人室にいるから」


 首だけ振り向けてそう言い残し、乙女は雅樂と萩森を連れ自分の生活している部屋に戻って行った。

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