表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
夏花  作者: 八花月
14.訪問者たち
46/95

46

「ねえ君たち、今幽霊がどうとかって聞こえたんだけど」


 萩森は敏感に、何やら不穏な空気を感じ取り、峻たちに声をかけた。


「はい。僕たち幽霊を撮影しに来たんです」

「なんか結構有名ですよね~。ここ。松良屋の女将さんにもたくさん待宵屋敷の怪談聞きましたよ~」 


「武音さん!」 


 萩森は血相を変えて乙女のほうに、身体を一回転させた。


「えっ、えっ?」

「ぼ、僕たちちゃんとその事伝えてますよね?」


「ちょっ、ちょっと待っててね」 


 不安そうな峻と冬絹を宥め、萩森は乙女と雅樂の間に割って入った。


「武音さん! 彼ら、幽霊を撮影するとか言ってますけども!」

「うん。宣伝になるからいいかと思って」


 乙女はいともたやすく答える。


「いいわけがないでしょうっ!」


「萩森さん、お客様の前ですので声を荒げるのは遠慮していただけると」 

 雅樂に言われ、萩森は声を落とした。


「何を考えてるんですか? ……撮影って彼ら、動画撮る気ですよ」


 着々と撮影準備している学生たちをチラ見しながら、萩森が言う。


「ちょうどいいじゃん。どうせ動画撮ってYOUTUBEかなんかにUPするんだろうし、ここで親切にしとけば、口コミで良い評判だって広がるよ。……なあ、それ撮った動画どうせネットに上げるんでしょ?」


 乙女に声をかけられた学生たちは、両人ともえもいわれぬ表情を見せた。


「いやあ……そういうのは別に考えてないんですよ~。あくまでも資料的な意味合いで」


「そうそう。僕たちはあくまで文化的な活動としてやってるんで。ただの物見遊山とか動画配信者とは一線を画してるんです」


「えっ? 電話で文芸部の宿題とか言ってなかった? ダメだったらクビになるとかいう。いいじゃん、よくわかんないけど、どうせ動画も撮るんだから、宿題とは別口でネット配信しちまえよ。有名になれるかもしんないぜ」


 乙女が言うと、峻が一歩前に出た。 


「いえ、まあ、あくまでキッカケは部の宿題だったんですが、目的意識自体は常に高く持っていたいというか……。俗に流れたくないんですよね」

「僕たちわりと高尚なんです~」


 乙女は学生二人組を遠慮なしに、ジロジロと上から下まで眺め回した。


「……その、文芸部の宿題なんだから、文章でなんか表現すんだよね? どんな感じのモン書いてんの?」


「あ、見ます~?」


「旅館で夜ヒマだからぼちぼち形にしてるんですよ。僕たちの合作なんですけど。いえ、あくまで下書き段階なんですが……これから推敲を重ねに重ねて……」


 グダグダと言葉を連ねつつ、峻は一冊の大学ノートを荷物から引っ張り出す。


「あ、見せてくれんだ。ありがと」


 軽く礼を言い、乙女はノートを受け取った。


 ノートを縦書きに使い、二人で交互に文章を書いているらしい。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ