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召喚されたッ!?  作者: Sir.G
第1章 王国編
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6.覚悟

眠い……てか最近前書きにこれしか書いてないw


 俺の問いに眼を閉じるアイリさん。これを聞かないことには返答しようがない。


「……率直に言いますと、御顔や貴方様の強さはどうだっていいんです」

「ん?」


 あんだけ褒めておいてどうだっていいのかよ。


「私は貴方様の生き様に心惹かれたのです。たった一人……この世界に呼ばれて誰にも頼れないという状況でさえも自分の信条を貫く貴方様に……」


 眼を開け、しっかりと俺を見つめる。

 その瞳には嘘をついているようなものではなかった。


「てかあの時居たの?」


 全然気付かなかったんだけど……


「はい。ただ影になるところに居ましたから……。その時です。私はこの人に仕えたいと。何かしてあげたいと思ったのは。ただの自己満足と言われてもらってもかまいません。私だって自己満足だと思ってますから……けど、それでも、私は貴方様のお力になりたいんです」

「そっか……」


 全てを言いきったアイリさんは俺の返答を待つ。

 あぁ……

 この人も強いなぁ……

 本当に美しい人だ……

 外だけじゃなく内まで、いやもしかしたら内の方が美しいかも知れない……


「俺に仕えたらどうなるかわかりませんよ? もしかしたら、この世界の人間に罵倒させるかも知れない。いや、罵倒だけならまだマシか……。殺させるかも知れないんですよ?」

「かまいません。貴方様がその道を進むなら私は徹底的に、誰も貴方様にそんな事をさせることのないようにサポートします」

「それに、もし帰る方法が見つかったら俺は貴方を残して元の世界に帰るかも知れないんですよ?」

「かまいません。勿論のこと、付いていきます」


 そんな即断即決を決めれるくらいアイリさんの心は決まってんのかよ……

 ならこれで最後の質問にしよう。


「俺は……貴方を不幸にしてしまうかも知れませんよ?」


 俺は一番これが怖い……

 こんなに自分を慕ってくれる人が不幸になるのが……

 この世界に来て、たくさんの良い人達に出会った。

 おっさん、ライラさん、爺さん、リーク爺さん、キリクさん、リーネさん、ハイネさん、他の人達―――それに、レイラ……

 そんな人達が不幸になるのが、恐いんだ……


「―――そんなことは絶対にありません」

「えっ?」


 アイリさんはそんな俺に微笑みかけてくれる。

 その微笑は今まで見た笑みの中で一番輝いているように見えた。
















「―――だって、私の不幸とは貴方様に仕えられない事。幸せは貴方様に仕えられること。罵倒? 多いに結構です。私の人生です。貴方様に私の幸せまで決められるほど私は落ちぶれてはいませんよ?―――――― 一也様」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 あぁ、そっか……

 俺はどこかで自分が他の人間とは違うと思ってたんだろうな……

 下手に魔力なんて持ったから―――いや、もともとの性格だっただろうな。

 どこかで俺は自分が大切と言った人を見下していたのかも知れない……

 そうだ……

 他の人の幸せなんて俺が決められるわけがないんだ……

 人の幸せなんて多種多様。本当に心の底から思っていることを全部理解出来る人間なんていないのに……

 それなのに俺は傲慢にも、人の幸せを勝手に、自分勝手に決めてしまっていた……


 ……これじゃあ“救帝者”に縋っている奴と同じじゃないか。


 傲慢勝手に他の世界の人間に世界を統治しろと言っている人間と同じじゃないか……

 こんなんじゃ人の事を言えないじゃないか……

 俺は心の中で自嘲していると、ふいに抱きしめられた。


「アイ、リ……さん?」

「そう悲しまないでください。貴方様はまだ幼い。これから成長出来るんです」


 さっきよりも強く、それでいて優しく抱きしめられる。

 俺はそんな心地よさに身を任せながらアイリさんの話を聞く。


「そんなことで崩れないでください……。貴方様はこの世界を変える人物になるんですよ?」

「俺には「出来ますよ」ッ!?」


 俺の言いたい事を先読みされ、そのことを否定された。


「出来ますよ、貴方様なら……この世界で一番強い心の持ち主なんですから」


 それは貴方ですよ、アイリさん……

 アイリさんの信じて疑わない言葉を聞いて俺は決心する。


 ―――絶対に“救帝者”の制度を廃止させてみよう。

 自分を限りなく信じてくれる人のために。


 ―――俺は成長しよう。

 もう二度とあんな考えをしないように。


 ―――俺は信じてみよう。

 俺のことを思ってくれる大切な友たちを。


 ―――俺は作ってみせよう。

 皆の美しい笑顔を。


 そのために――――――



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「アイリさん」

「はい」

「俺に力を貸してくれますか? 俺一人じゃどこかで崩れ落ちるかも知れない。レイラ達がいるけどいつも俺の傍にいるとは限らない。けどアイリさんは傍に居てくれますか?」


 俺が口を開くと、アイリさんは、その言葉を待っていました! と言わんばかりの笑顔に俺に告げる。


「当り前です。私はいつでも貴方様の御傍に。どんな時でも貴方様を支えましょう」

「……そっか」


 なら俺の心は決まった


「俺に仕えてくれますか? アイリ・ファランスさん」


 俺は堂々と。迷わず告げた。


「はい。この時より貴方様は私のご主人様です、一也様」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「それじゃ今日はもう遅いけど一つだけいいですか?」


 俺は尋ねる。


「その前にご主人様、私には敬語は必要ありません。普段の喋り方で結構です」

「けど……」


 俺はこの人にいつもの言葉で喋れるのか?


「それより、ご主人様ってのをやめてください!」

「駄目です」


 ピシャッ、と言いきられる。

 そんな即答しなくても……


「ご主人様以外になんて御呼びしたらいいんですか。ご主人様はご主人様です。それより敬語をやめてください」

「そっちこそご主人様って言うのをやめてください」


 ~以下エンドレス~


「はぁはぁ……折れてくださいよ」

「はぁはぁ……これに関しては折れてはいけません」


 くそっ、いつまでこんな不毛なやり取りを続ければ……

 ……しょうがない、最後の手段を使うか。


「なら一つ提案です」

「提案ですか?」


 首を傾げるアイリさん。


「お互いに妥協して、俺は敬語を止めます。だからアイリさんはご主人様っていうのをやめてください」


 これが妥協案だ。

 これが通らなかったらどうすることも出来ない。


「……わかりました、では一也様と御呼びさせていただきます」

「様付けもやめて欲しいんだけど……まぁしょうがないか」


 二人ともがやっと妥協した。

 これでようやく本題に入れる。


「んじゃ本題に入りま――じゃなかった、入るぞ?」

「はい」


 アイリさん相手にタメ口ってのは慣れない。


「まず、俺達に今、最速で必要なのは資金だ」


 これがなきゃアイリさんを養うことが出来ないので、金は早急に集めておきたい。


「そうですね、まぁ私の方はまだ残っていますが……」

「それじゃ俺がヒモ扱いになる。おっさん相手ならまだいいがアイリさん相手は嫌だ。だからまず資金集めをしようと思うんだが……アイリさんがさっき言っていたギルドってのはどんな感じなんだ?」


 まぁ十中八九、俺が知っているような組織だろう。魔物狩りや薬草集め、果ては届け物と言った、所謂何でも屋だ。


「ギルドと言うのは街毎に設置されている組織のことを言います。そこでは魔物狩りや採集といった仕事が冒険者や旅人達のために依頼が集まるようになっています」

「なるほど」


 冒険者や旅人の資金提供といったところか。

 冒険者や旅人なら魔物相手にも引けをとらないだろうし、採集などで森の深くなんか行っても無事に帰ってこれるだろうし。


「まぁ今では腕に覚えのある人が資金集めや有名になりたいという感じで、誰でも依頼が引き受けることが出来るようになっていますが」

「有名?」

「はい。ギルドでは下がG、それから順にF、E、D、C、B、A、S、SS、SSS、Mとランクが付けられています。これは依頼をこなしていく毎にランクが上がる仕組みになっていてAランクになれば爵位も貰えます。爵位があると何かと便利なので皆さんがギルドに行くように近年ではなりました」

「へぇ」

「そしてSクラス以上なら城などからもたまに名指しで依頼が回され、依頼を成功させることが出来れば普段より多い報酬を貰えるので皆さんは必至にランクを上げているということです」

「Sランク以上の人はどれくらい居るんだ?」

「Sランクでだいたい国に20人から30人。SSランクになると両の手だけの数で足ります。そしてSSSランクになったら片腕だけで事足りるようになります」

「ふむ……」


 予想以上にSSSランクがいることにビックリだ。

 普通そういう最高のランクって世界に一人とか過去の英雄くらいなんじゃないのか?


「簡単に言えば、ランクとは強さです。ランクが上がって行く毎にほとんどが魔物の討伐が依頼内容になってきますから。まぁ一也様には問題ありません。すぐに最高ランクのSSSに到達するでしょう」

「そう言ってくれるのはうれしいんだけど……そういやSSS上にあったMランクってのは?」


 さっきから気になっていたこのランク。


「それはM―――マスターランクといい、最初の“救帝者”に送られた称号のようなもので、現代ではあまり関係ないので気にする必要はありません」

「なるほどね」


 最初の“救帝者”に送られたものか。

 まぁ過去に戦争を終結させたんだからそれくらいは当然か。


「なら学園に行くまでは―――って、アイリさんは俺が学園に行ったらどうするんだ?」


 そういや学園の存在をすっぱり忘れていた。


「付いていくに決まってるじゃありませんか。私の居場所は一也様の隣ですよ?」

「っ!」


 そんな微笑みながら言われたら恥ずかしい。

 俺の顔って今は暗いから見えないからいいけど、明るかったら真っ赤になってるんじゃないのか? 暗くて助かった。


「御顔が真っ赤ですよ?」

「見えてんのかよッ!」


 思わずツッコんでしまった。


「あ~、んじゃおっさんに明日伝えておかなくちゃいけないな」

「その必要は御座いません、もう伝えておきましたから」

「準備いいな、おい!」


 二度目のツッコみ。

 てか俺がアイリさんを雇わなかったらどうするつもりだったんだろう。


「んじゃ伝える必要もないと」

「はい」

「そうか……」


 なら明日はどうするか……

 まだ魔法については初心者だから明日は魔法の修行と体がどのくらい変化したかの確認でもするか。型の反復もしないといけないし、いきなり実戦てのは危ないだろう。


「んじゃ俺は明日一日鍛錬するけどアイリさんはどうする?」

「お手伝いさせていただきます」


 わぁお、即答かよ。


「でも何か手伝えることある? 別に無理しなくても羽休めだと思ってゆっくりしていてもいいと思うんだが……」

「別段その必要はございません。もともと余り疲れない体質なので」


 嘘だろ。


「それに戦いの方では私は何もすることが出来ませんが、それ以外ならサポート出来るでしょう?」

「まぁ…な」

「ならそれで大丈夫です」


 はぁ……大人っぽいと思っていたんだが、予想以上に押しが強いな。

 いや、大人っぽいから押しが強いのか?


「はぁ、それなら明日の朝に起こしにきてくれるか?」

「お任せください」


 そう言って俺は寝る準備をする。

 やっと眠れるよ……

 一日が今までで一番長く感じた日だったなぁ……


「それじゃおやすみ、アイリさん」

「お休みなさいませ、一也様」


 そう言い残すとアイリさんは静かに部屋から去って行った。








「――――そして、ありがとう……」

次は一也の修行風景ですかね。

てかアイリさん登場しすぎだわw

どんだけ出てくるんだ? メインのつもりのレイラが霞んでいるよwww

まぁ気にしないんだけどさ。プロット無しでネタが浮かんだら書いてるものだから偏ることだってあるさ、多分(汗

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