4.決闘
初めての戦闘描写!
何か変な感じがする……(汗
俺が錬武場に着いた頃には他の人達は集まっていたようだ。
「結構な人数がいるな」
俺は辺りを見渡す。数十名の人間がこの場に集まっていた。
「そうだな。一也が会ったことない人物だとすると、騎士団団長や魔導騎士団団長、副団長、魔導隊副隊長、隊長はクレウィスだから知ってるな。その他多数だな」
多すぎて把握出来ねぇよ。
「君が一也君かね?」
「ん?」
声がした方向に振りむくと二人の男性と二人の女性が立っていた。
一人は老齢した男性。しかしその体は限界まで鍛えたかのような肉体をしていて、その威圧感や立ち振る舞いは先ほどあった餓鬼みたいな副団長とは比べ物にならなかった。顔はどこか優しそうな雰囲気と厳しい雰囲気が混じったような感じがし、目は優しそうに微笑んでいるが、いざ戦いが起こると先陣を切って戦いそうな目をしている。
髪はもう老齢のためか完全に白髪になっていて、服装がさっきの馬鹿と同じ服装である。
この人が騎士団の団長かな?
二人目の男性はどこか頼りなさそうな感じで、顔は目が垂れていて余計に頼りない感じがする。髪は緑色のショートで眼鏡も掛けている。
服装は青いコートのようなものを羽織っておりなかなか似合っていた。
ん~、この人はわかんねぇな。戦い関係じゃなさそうだけど……。
三人目は女性で、目はキリッとしていて大人っぽい雰囲気が漂っている。黒縁メガネを掛けているせいか余計に知性的に見え、所謂かわいい女性じゃなくかっこいい女性という感じだ。体の発達は余り発達していないがスレンダーといえばスレンダーという感じである。髪はダークブラウンでポニーテールのように結んでいる。この人はもろスーツのようなものを着ていた。
どっかの秘書か?
最後の女性は、先ほどの女性と比べると馬鹿になるくらい体の凹凸がはっきりしている。胸は大きいのに腰をキュッと引き締まっていて大抵の男を魅了するであろう身体だ。顔のほうは目が少しタレ目で、何故かほんわかそうに微笑んでいてどこか気が抜ける感じがする。髪はピンクの―――てこれル○ズの髪型じゃね? まるっきりゼ○魔のル○ズだよ。
読めねぇ……三人の中で一番わからん。
そんな事を一瞬で考えながら返答する。
「あぁ、俺が一也だけど…何か用か?」
「何、ラングル王相手に説教をかました最高で最後の“救帝者”の顔を見てみたくてのぅ」
白髪の爺さんは豪快に笑いながら俺に喋りかける。後ろの三人も目的は同じらしい。
「あんたらは?」
「儂か? 儂はこの国の騎士団団長、リーク・セルバネス・ライデンじゃ」
白髪の爺さんが答える。やはり騎士団の団長だったらしい。
「僕はキリク、キリク・ルイネス・リーゼンガル。魔導隊の副隊長を務めてるよ」
緑の髪の男性が答える。予想とは裏腹に魔導隊の副隊長のようだ。
マジかよ……予想外だ。
「私は魔導騎士団の団長、リーネ・ボルネア・ルイスだ」
「同じく副団長、ハイネ・ソルフ・ベネアでぇす」
こちらも予想外で魔導騎士団のトップとトップ2らしい。
どうみても秘書とアイドル?にしか見えないんだけどな。
「一応知っていると思うが俺も自己紹介しておこう。
俺の名前は御薙 一也。そちら風に言うと一也 御薙だ。役職は“最後の救帝者”だな」
不敵に告げる。
そんな俺に対して4人も気を悪くしないで微笑んでいた。
「にしても言いよるのぉ…下手すると国民や他の国の者に殺されるぞ?」
「ほんとだよぉ……大丈夫なのぉ?」
リーク爺さんとハイネさんは心配そうに俺に尋ねる。
まぁリーク爺さんの方は俺を試している感じがあるけど。
「この世界の思想なんぞ知るか。俺は俺だ。それに今回みたいに邪魔なやつが出てきたら押し通ってやるよ。口論には口論を。力には力を……これが俺の信条だ」
俺の思いを4人に告げる。
「これはこれは……」
「やるのぉ……」
「今までの“救帝者”とはやはり違うようだな……」
「かっこいいですねぇ……」
四者四様の返事が返ってくる。
かっこいいって何か違わねぇか?
「どうした?」
「いやいや、やはり王に聞いた人物像で間違いなかったと思ってのぉ」
「んで、合格か?」
「何?」
リーク爺さんは驚いたように俺を見る。
いや、どうみても試してる感があったじゃん。
「いやはや……これは本当になんとかしてくれるかも知れんのぉ」
「何が?」
「お主が言ったことじゃよ。『“救帝者”に頼らず世界を統治すること』じゃ」
「私達だって出来ることなら私達で世界を統治したかったさ」
「それでもこの世界の住民は許さなかったんだよね」
「“救帝者”って言うのが予想以上に根ずいていたんだよぉ」
「その考えを君が壊してくれそうだからね」
ふむ……予想以上に“救帝者”の考えに反対の人間はいたんだな。
まぁ俺として権力やら強い奴の中にそういう考えが出来る奴がいるほうが助かるからいいが。
「ていうことはあんたらも手伝ってくれるのか? この馬鹿みたいな思想をぶっ壊す事に」
俺は少しの信用を込めて問う。俺の直感が言っている。
こいつらは信頼出来ると。
「無論じゃ」
「僕も出来る限りのことは手伝うよ」
「私もぉ」
「私も手を貸そう。だが、まずやらなければいけないことがあるが……大丈夫か?」
ん? やらなければいけないこと…………あぁ!
そういや俺はここに馬鹿を静粛に来たんだっけ。完全に忘れていた。
「大丈夫だって。そういやリーク爺さんの部下だけど、ぼこぼこにしていいの?」
「かまわんよ。あやつのあの狂信ぶりはどうにかしないといけないと思っていたしのぉ。でも大丈夫なのか? あやつはあんな考えを持ってはいるが騎士団の副団長じゃぞ?」
「大丈夫だって。俺に勝つんならせめてあんたぐらい出来なくちゃ届かないさ」
俺は4人に笑いかけながら馬鹿がいるところに進んでいく。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ふむ……強いのぉ……」
「彼がですか?」
リークの独り言に対してキリクが聞き返す。
「あぁ。儂でさえ勝てないだろうなぁ」
「「「なっ!?」」」
三人は驚く。
それもそのはず、この老人、リーク・セルバネス・ライデンは戦闘最強の王国ベルカンの中でも最強に位置する帝の名を持つ、“天帝”“地帝”“海帝”の三帝の三人と同等の力を持っていると言われている。
それなのにそこに歩いていく少年には勝てないという。
「……本当ですか?」
「あぁ、彼は強い。それも儂では足元にさえ届かないほどの強さじゃろうな」
「そういえばぁ、彼って下位の魔法を無詠唱で上位クラスの威力を叩きだしたって言っていましたよぉ?」
「………何者だ、彼は?」
4人が同時に同じ事を考える。
しかし最後に思うことは4人とも一緒のようだ。
「「「「戦ってみたいのぉ(ですね)(ですぅ)」」」」
以外と4人はバトルマニアのようだ。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ようやく来たか……」
俺が錬武場の真ん中に辿り着くとロイド・キキュード・ベオウルフ(馬鹿)が呟く。どうやら待たせ過ぎて怒っているようだ。
このくらいの時間で怒るなよな……
「んで、ルールは?」
「それは儂が説明しよう」
おっさんが出てきて説明を開始する。
①相手を殺してはいけない。(死なない程度のダメージなら可。例えば腕を斬り飛ばすことくらいなら大丈夫)
②武器、魔法ともに何を使用しても可。
③勝負の決着は、審判の号令(この場合はラングル王)か参ったと言うかの二つ。
「わかったか?」
「俺はいいぞ?」
「私も大丈夫です」
「なら始めるとしよう……双方とも立ち位置へ!」
おっさんの合図で俺と馬鹿は立ち位置に着く。
「おい馬鹿、わかっているよな?」
「私は馬鹿ではないッ! 私が勝てばお前は“救帝者”の義務を全うする。私がもし、万が一! 負けてしまったら二度とこのことは追及しないということだろう? わかっているさ」
嫌みったらしく言う。
一瞬で決着つけてやろうか……
「一也さんっ!」
「ん~?」
他の連中がいるところからレイラが声を掛ける。
「が、頑張ってください!」
「……あぁ!」
顔を赤めながら応援してくれるレイラ。
んじゃまぁ馬鹿を成敗しますかね。目には目を。歯には歯を。力には力だからな?
「さて、んじゃ馬鹿の成敗並びに“救帝者”なんてものは必要ないっていうことを、とりあえずここにいるやつら伝えるか」
「そんなことを言えるのは今だけだ!」
俺の言葉に憤慨する馬鹿が一名。
あぁ、うるせぇ……
そんなことを思いながらおっさんの決闘の合図を聞いた。
「では……始めぇッ!」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「はぁッ!」
おっさんの合図と共にロイド(馬鹿)が仕掛けてくる。
こいつには様子見とかそういう考えはないのか?
俺はロイド(馬鹿)の騎士剣が上段から繰り出されるのを最小限の動きだけで避ける。上段から繰り出された一撃を避けられるのを確認したロイド(馬鹿)は手首を返し切り上げてくる。
俺はまたそれを最小限の動きで避ける。
正直話にならない。
まだ二回しか斬撃を放ってはいないが、正直これ以上は変わらないだろう。昔から化け物みたいな人間を相手にしてきた俺にとってこの程度に斬撃は止まって見える。
それから三撃、四撃と続いていくが俺は全てを避け続ける。
「どうした! 避けてばかりじゃ勝てないぞ!」
ロイド(馬鹿)は俺が攻撃出来ないと思いこんで嘲笑を浮かべる。
こいつはどこまで馬鹿なんだろうか……
大体最小限の動きで避けられている時点で自分との力の差を理解出来ないのだろうか。
そんな事を思いながら俺は避け続ける。
二十撃くらい放っただろうか。ロイド(馬鹿)も息が少しきれてきたようだ。
感情的になりすぎだろ……
こんなんじゃ体力が持つはずがないだろうが。
「クソッ! いい加減当たれッ!」
「誰がそんな温い斬撃に当たるか」
イラつき始めた馬鹿の斬撃は一段と雑になってくる。ただ我武者羅に剣を振り回しているにすぎなくなってきた。そんな斬撃に当たるはずもない。
右から来る斬撃を少し下がって避け、上から来る斬撃は体を少し捻って避ける。
「クソ、クソ、クソォォォォォオオオオッ!」
だんだんとこいつに付き合うのも疲れてきたので、一旦後ろに跳躍して距離を取る。
「ハハハッ、とうとう私に恐れをなしたかッ!?」
「お前はやっぱり馬鹿なのか?」
距離を取っただけで恐れをなしたって……どんだけだよ。
「リーク爺さん……」
「なんじゃ?」
後ろに跳躍すると、予想以上に跳躍してしまい観客のところまで来てしまった。
気で体を強化してないのにこれかよ……
気で強化したらどるなるかは考えたくないな。
「部下の精神修行はキッチリと行ったほうがいいぞ?」
「これは……痛い所を突かれたのぉ」
「他のやつらもそうだけどな、戦いってのは力とかも必要だが、一番必要なのは精神――心だ。これがなくちゃどれだけ力があっても宝の持ち腐れだし、心が壊れていたらあそこにいるロイド(馬鹿)みたいになってしまうからな」
「そうじゃな」
「これからはそういう事に対しても訓練するようにしろよ?」
最後にそう告げると俺はまた場所に戻ろうとする。が、何故かロイド(馬鹿)がこっちに近づいてくる。
「あいつッ、周りが見えてないのかよッ!?」
流石の俺も焦る。
俺の後ろにはおっさんやレイラ、所謂接近戦の心得がないやつだっている。
チッ!
俺は腰に差してある影桜を引き抜く。それと同時に後ろから息を呑む声が聞こえてくる。
「そんな細い剣で私の剛剣を防げると思っているのかぁッ!?」
俺の刀を見たロイド(馬鹿)がまたもや嘲笑を浮かべる。
「――――――違う」
「何ッ!?」
俺はロイド(馬鹿)の剣が俺の体に到達する前に高速で後ろに回り込む。
「――――――これは刀だ。全てのものを斬り裂くな」
―――天凱流 攻式壱之型 迅雷
相手の正面に目にも止まらぬ一閃を放ち、相手の後ろに周りこむ、爺さんが教えてくれた流派の基本の技で、これは天凱流 歩法 旋風を組み込んだ技だ。
この時の一閃はロイド(馬鹿)の騎士剣に叩きこんで、折っておいた。
旋風とは足に気を巡らせ溜め、一瞬で爆発させその時に出来る力を推進力として移動する技である。これは縮地とは違い全方向に移動出来るという利便性を持っている。そのため真っ直ぐ進むスピードは縮地に劣るが。
「―――終わりだ」
俺はロイド(馬鹿)が気付いてはいなかっただろうが声を掛け、そして首筋に峰で殴打する。
……何かゴキッ、ていう音が聞こえたけど大丈夫だろう。多分……
最近感想が来るようになって狂喜乱舞している作者です。
さて新しいキャラが出てきたんで紹介でもしておきましょうか。
主要キャラになるかわかりませんが……
リーク・セルバネス・ライデン
騎士団団長。
顔はどこか優しそうな雰囲気と厳しい雰囲気が混じったような感じ。
目は優しそうに微笑んでいるが、いざ戦いが起こると先陣を切って戦いそうな目をしている。髪はもう老齢のためか完全に白髪。
戦闘最強の王国ベルカンの中でも最強に位置する帝の名を持つ三帝の三人と同等の力を持っていると言われている。
キリク・ルイネス・リーゼンガル
魔導隊副隊長。
どこか頼りなさそうな感じで、顔は目が垂れていて余計に頼りない感じがする。髪は緑色のショートで眼鏡も掛けている。
リーネ・ボルネア・ルイス
魔導騎士団団長。
目はキリッとしていて大人っぽい雰囲気が漂っている。黒縁メガネを掛けているせいか余計に知性的に見え、所謂かわいい女性じゃなくかっこいい女性という感じ。髪はダークブラウンでポニーテールのように結んでいる。
凹凸は少なくスレンダーと言う方が聞こえはいい。
何故かスーツのようなものを着ている。似合ってはいるが。
ハイネ・ソルフ・ベネア
魔導騎士団副団長。
顔のほうは目が少しタレ目で、何故かほんわかそうに微笑んでいてどこか気が抜ける感じ。体の凹凸がはっきりしている。
胸は大きいのに腰をキュッと引き締まっていて大抵の男を魅了するであろう身体の持ち主。
髪はゼ○魔のルイズそっくり。
何故かヒロイン入りさせようか迷っているキャラ。
今回はこんなもんですかね。ロイドは書かなくていいでしょ。多分もう出て来ないと思いますし(笑)
まぁ改心して出してもいいですけど、それなら主人公と同年代の方が物語が作りやすいですし、親友ポジションも獲得出来るので多分こいつはこれっきりになるんでしょうねぇ。
では次回でお会いしましょう。
戦闘描写はやっぱり難しいな……