13.三人でお買いもの
お久しぶりです。
スランプから抜け出せた(かも知れない)私が帰ってきましたw
そう言えば、何時の間にかにPV数400,000とユニーク数50,000を越していましたww
本当にこんな妄想作品を読んでいただいて感謝をいくらしても足らない気持ちです。
学園にさえ入ればいくらでも記念作品を書けると言うのに……
現状じゃ少し厳しいですし。
ま、またこんな感じで進んでいくと思うんで、応援再度よろしくお願いします。
PS.春休みの宿題やらなくちゃ(笑)
「さて、レイラとアイリさんが怒ってなきゃいいんだけど……」
やっと城に辿り着いた俺は昼食を取る為に大広間に足を進める。
その途中、一度レイラやアイリさんの部屋に寄ろうかと思ったが、まぁ大広間にいるだろうと思い、直で向かう。
「ただいま~」
大広間に入ると同時に声を上げる。
中を見るとやはりレイラとアイリさんはイスに座っていた。
「一也さんっ!」
「一也様っ!」
「うぉっ!?」
いきなり二人が突っ込んでくる。
避けようと思ったが、俺の中の何かが避けるのを拒みそのまま二人に突進される。
ちょ、死ぬって……
俺は呻き声を上げながらも、その突進を堪える。
「一也さんどこいってたんですかっ!?」
「いや、手紙に書いたよね、俺?」
レイラに習った?文字で手紙を書いて俺の部屋に置いておいた筈だ。アイリさんは朝一番に俺を起こしに来るからそれを発見してると思うんだが。
……もしかして見てない?
「見ましたけど! それでも口で直接言ってくれたらいいじゃないですか!」
「いや、まだ朝の早い時間だったし?」
まだ日が出るか出ないかぐらいの時間に城から出たわけだよ?
アイリさんはともかく、レイラは起きていないだろ?
「それでも教えて欲しかったです!」
「んな無茶な……」
普通に考えて、日がまだ出てない時間に部屋に行くなんておかしいだろ?
それに男が女の子に部屋に行くのもなぁ……
「まぁそれはいいではないですか。ちゃんと帰ってきてくださったことですし」
「アイリさん……」
「アイリさんもただいま」
「おかえりなさいませ、一也様」
そうやって大人の対応をしてくれるのはうれしいんだけど、突進したから関係ないだけどな……
「それでどんなクエストを受けてきたのですか? 昼食を取りながら聞かせてください」
「そうだな」
そうして俺はやっとイスに座る。俺の前にレイラ。アイリさんは俺の横に佇んでいる。
「アイリさんも座れば?」
昨日からずっとこの立ち位置だ。一緒に食べればいいのに。
「いえ、私はもう頂きましたので……」
「むぅ……」
やはりアイリさんはなかなか強情だ。もう少し軟らかくてもいいんだがな。
「まぁとりあえずは昼食を取るかね」
「そうですね」
俺とレイラは運ばれてくる昼食に手をつけていく。
少し食べたところで、俺は今日受けてきたクエストの話を切りだすことにした。
「今日受けてきたクエストは“色王”の討伐だったな」
「「ぶっ!?」」
「おいおい……」
いくらなんでも女の子が噴出したら駄目だろ。
アイリさんも大人の女性なんだから……
「ごほごほ……」
「どうぞ、水です」
「あ、ありがとうございます、アイリさん」
アイリさんはすぐに立ち直るとレイラに水を渡す。レイラも渡された水をすぐに飲み干す。
「ゴクゴクゴク……ふぅ~」
「落ち着きましたか?」
「はい……ってどういうことですか!?」
「ん?」
俺はそんな光景はスルーし、昼食を食べてたらレイラに怒られた。
どうしたんだ?
「“色王”って、何でそんな最強種と戦ってるんですか!?」
「それは私も思います」
「ん~? 何かランクが高くて手早く終わるのないか? って聞いたら出てきた」
俺は事もなく食べながら話す。
まぁなかなか強かったけど、それほど問題はなかったし?
「怪我はなかったんですか?」
「怪我?」
アイリさんは俺が怪我をしていないか心配のようだ。
それも大丈夫。ちゃんと完治したし。
「骨を数本と内臓をやられたくらいだな」
「くらいって……!?」
アイリさんは俺の方へ駆けよってくるが、俺は手を向けて制止させる。
「ちゃんと魔法で治療したから大丈夫だ」
「……本当ですか?」
「俺の魔法は知ってるだろ?」
最早無茶苦茶な俺の魔法だ。
アイリさんも出来ることぐらい予想出来るだろう。
「まぁ確かに強かったけど成体じゃなかったし、対処出来ないレベルじゃなかったよ」
「……本当に規格外ですね」
「酷い……」
昼食をもくもくと食べながら、昼はどうするのかレイラとアイリさんに聞いてみる。
とりあえずお金の心配はなくなったから、他の心配について考える。が、特に思い付かない。
「二人は昼から何か用事あるか?」
「私は別に」
「私の方もありません」
「そっか。なら買い物に付き合ってくれない?」
やっぱり贈り物って言うくらいだから買ってあげるなんて言葉は口にしない方がいいだろう。そう思い、俺自身の物を買いに行くと言うニュアンスで二人に伝える。
「私は大丈夫です」
「かしこまりました」
「んじゃご飯食べたら早速行くか」
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「こうやって店を巡るのは初めてだな」
こっちの世界に訪れて数日。初めて俺は買い物をする。
周りは昼も少し過ぎ、ゆったりとした趣きを醸し出していた。
「そう言えばそうでしたね」
「ま、時間もあるしゆっくり回ってみるか」
アイリさんはメイド服―――ではなく、レイラから服を貸してもらったようだ。
少し身長差があり、レイラなら足元まである長さのスカートが、膝と足元の半分くらいの場所になっている。
レイラは淡い青を基調とした服装で、アイリさんは白と黒を基調とした、大人っぽい服装だ。
二人は絶世に美女なので、町の男性の眼を釘付け。おかげでさっきから嫉妬と羨望とが入り混じった視線が突き刺さる。
「ゆっくり回るのは撤回で早く目的を達成させよう」
これじゃ胃に穴が開く……
予想外にも程がある、と俺は心で毒づく。
確かに二人は美女だ。それは俺も認めよう。それでもこれは酷い。
何で歩いてるだけで、「死んでしまえ……」だの「呪い殺してやる……」だの言われなくちゃならんのだ。
「そう言えば一也さん、今日は何を買いに来たんですか?」
「そういや伝えてなかったっけ。今日は主に服の調達だな」
二人のな、と心の中で付け加える。
「では服屋が多い場所にご案内します」
「私服は持ってないのに場所だけは知ってんのな」
「…………」
「……ごめん」
失言だったみたいだ。
「さ、さぁ行きましょう!」
「そうだな」
「…………」
無言のままのアイリさんに連れられ、俺達は街中を歩いていく。
「ホント謝るから機嫌直してくれよ……」
誠心誠意、真心を込めて謝る。
レイラも苦笑いでそれを眺める。
「……はぁ。別に怒っていませんよ。少し意地悪しただけです」
「そうか……ま、ホントごめんな」
ポン、と手のひらをアイリさんの頭に乗せる。
俗に言う撫でるという行為。自分より年上の人にやるのは躊躇する行為だが、気にしない。
「あっ……」
声が零れる。
それは拒絶ではなく、いきなりの行為に戸惑う声。
「あ、嫌だった?」
「……ぃぇ」
「むぅ~」
とりあえず嫌がられてる雰囲気はないしこのまま続けておこう。
レイラが何か不満そうだがどうしたんだろうか。
「あ、ここが服屋です」
「ん、ありがとう」
「あっ……」
服屋に着いたということなので、俺はアイリさんの頭から手を離す。
また声が零れたようだが、気のせいだろう。
「で、早速で悪いんだけど二人には俺に似合う服を選んで欲しいだが……頼めるか?」
「「……へっ?」」
予期せず言葉に戸惑う二人。
でもそうでもしてくれないと、俺が二人に似合う服をバレないように探せないし。
「いやだってさ、俺こっちの世界の服とかわかんないし」
「「ああ!」」
そうでしたね、と呟く。
そんな二人を眺めながら、俺は女性物の服に目をやる。
……そこまで元いた世界と違うような服はおいてないな。
そうすると元居た世界と同様に服を選べばいいのだが……
「俺ってセンスないし、女物の服なんか選んだことないだがな~……」
思わずぼやく。
一瞬、今の言葉を聞かれたかと思ったが聞こえてなかったようだ。二人は俺の言葉を信じたようで、真剣に服を見て選んでくれている。
「それじゃ頼んだぞ? 俺も見て回ってくるから、1時間くらい経ったら呼んでくれ。お金の心配はないからいくらでも大丈夫だ」
「わかりました」
「かしこまりました」
そうして俺達三人は服屋の中を散りじりになって別れる。
さて、俺も頑張って選んでみますか。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ん~、わからん……」
別れてから10分くらい、早速俺は悩んでいた。
「どんな感じがいいんだ?」
こっちの流行りなどはまったくわからないし、アイリさんやレイラがどんな服を好んでいるなんかはもっとわからない。アイリさんに至っては私服を持っていないし……
「どうしよっかな……」
迷い、悩む。
う~ん、と頭を悩ませながら店内を歩いていく。
そんな俺を見る店員は何故か微笑ましいような感じで俺を見る。何故?
「ん?」
すると、店の一角。
それも端の端に二つの服が置かれている。
誰かがポン、と置いた風で到底店の売り物には見えない。
「これは……」
そんな二つの服を俺は手に取る。
一つは純白。
適当に置かれていた割に手入れが行き届いていて、染み一つない白さを保っている。柄などは本当に少なく、胸元に少しのワンポイントを付けているのと、所どころに付いている以外は何もない。
もう一つの方は鮮やかな空色をベースに白や琥珀色を混ぜたもの。
こちらはさっきよりも柄が多く、明るい仕上げになっている。だが、柄が多いにも関わらず雰囲気を崩していない。
この二つをベースに考えるか。
俺はその二つの服にすると決め、手に取る。
それから二つの服に合うズボンを見ていく。上が決まれば下を決めるのは楽で、俺はすぐに選んだ。
そして俺は直ぐに店員に支払いを頼む。
レイラとアイリさんにはバレないようにタイミングを見計らって支払いを済ます。
「ミッションコンプリートってか?」
店員に入れて貰った袋を二つ持ち、二人を探す。
どうやら未だに二人は俺の服を吟味してくれているようだ。
まだ時間が掛かるようで、この時間をどうやって過ごそうか悩む。
そんな中ふと外に目をやる。
そこには露天商が色々な物を売っているようだ。
「何かおもしろいものあるかな?」
俺は二人に声を掛け、外の露天商を見てくると伝える。
二人は服選びに真剣過ぎて、すぐさま返事を返してきた。
「そうまで頑張られるとちょっと困るんだけどな……」
苦笑いを浮かべながら、店内から外に出て露天商の下に行く。
「見ていって構わないか?」
「どうぞどうぞ、見ていってください」
店主は高齢の男性で、朗らかな笑いを浮かべてくる。
俺もそんな男性に釣られ笑いを浮かべる。
扱っている商品は色々とあるが、俺が眼に引いたものはやはりアクセサリーの部類だ。
手に取って眺めてみると、どのアクセサリーも質が高い。
その中に一つのアクセサリーを手に取る。銀細工のもので、両翼の間に蒼い宝石が付いている。どうやら取り外し可能なようで、片翼が二枚と宝石とに別れる。
「店主、これいくら?」
「お、見る目があるね。それは何でも有名な銀細工作りが作ったって言われてるんだけど、結局誰が作ったかわからずじまいで流れた一品なんだ」
「へぇ……」
道理でいい作りになっている筈だ。
元の世界で買えば諭吉さん数枚は軽く飛ぶな。
「これ貰える?」
「金貨1枚――って言うところだけど、久しぶりに若い人にその商品を見つけて貰ったから銀貨50枚で売るよ」
銀貨50枚――って俺金貨しか持ってねぇよ。
「金貨2枚払うから鎖を二本くれないか?」
俺は袋から金貨2枚を取りだす。
そんな様子に店主は一瞬茫然とした顔を浮かべるが、またもとの表情に戻った。
「別に金貨1枚でいいですよ? 鎖なんて安いもんですし。本当なら鎖なんてタダで渡しますし」
「気にしなくていい、俺が払いたいだけだ」
金貨2枚を店主に渡す。
そうすると店主も諦めたのか、一度溜息を吐いてから俺を見る。
「久しぶりですね。あなたのような人物を見るのは」
「だろうな。ま、たまにはいいだろ?」
笑い合いながらのやり取り。
店主は何時の間にか鎖を出していた。
「では鎖二本と銀細工を」
「ありがとう」
俺は貰った時に銀細工を三つに分ける。
そしてそれぞれに鎖を着ける。
「贈り物ですか?」
「ああ。この世界で大切な人達だ」
これからちょくちょく更新していけたらいいと思っていますので、感想などドシドシ送ってください!
では!