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召喚されたッ!?  作者: Sir.G
第1章 王国編
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8.魔法

何とか友達がいる中で執筆。

間に会ってよかった……

 昼食を急かされながら食べらされ、食後の休憩もなしで俺は錬武場に連れてこられた。

 飯はゆっくり食べる派なのに……


「んで? 俺は魔法の練習をしたらいいのか?」


 いきなり連れてこられて要領を得ない。

 昼から魔法の練習をするとは言ったが、具体的なことを決めていなかったので何をしたらいいかわからない。


「そう言うと思って…はい、これです」


 レイラが手渡すのは一冊の本。


「何だこれ?」

「魔導書です」

「へぇ」


 これが噂に聞く魔導書かぁ。

 何か感慨深いものがあるな。


「これを読んで魔法の詠唱を覚えて貰います。まぁ一也さんならすぐマスターしきるものばかりですけどね」


 そう言いながら本を手渡す。

 中身を覗いてみると訳のわからない言葉の羅列が眼に入る。

 ……読めねぇ。


「レイラ……」

「はい?」

「読めん」

「は?」

「だから読めないんだって」


 だって俺がこの世界に来たのは昨日だぞ?

 何故か言語は伝わるけど、文字までは読めるわけがない。


「なら私が教えますので、後から復唱してください」


 そう言い、俺の手にあった本を取り、本を開けるアイリさん。

 その様子をおもしろくなさそうに見るレイラ。

 どうしたんだ?


「アイリさんは魔法に詳しくないんですから私が読むべきだと思うんですが?」


 何故かアイリさんを睨みつけるレイラ。

 そんな眼差しを気にすることなく、アイリさんは言い返す。


「魔導書だって魔力のない人間が読んだらタダの本です。タダの本なら私が読んでもかまわないでしょう? それに、発音などはレイラ様より綺麗と私は自負していますが?」

「くぅ~!」


 言い争いをしている二人を眺めながら、俺は空を見上げる。

 ……空が蒼いなぁ。

 そんな現実逃避もすぐに呼び戻され、騒乱に加わることになる。


「一也様はどちらの方に読んでもらいたいですか?」

「もちろん私ですよね?」


 正直どっちでもいいって言うのは無しなんだろうか。


「はぁ……。ならアイリさんに魔導書を読んでもらって、レイラにその魔法を実践してもらうってのは駄目か?」


 何か二人が争っているように見えるので、とりあえず役割が半々になるような構図を考えてみた。

 これなら大丈夫じゃね?


「なるほど……」

「それがいいですね」


 俺の提案は以外と簡単に通った。

 それにさっきまでは睨みあっていたのに今では二人とも笑顔で話しをしている。

 女の子ってほんと訳がわからん。


「さて、まず最初の魔法から行きます。最初はとりあえずレイラ様が使える風の下位の魔法“ウィンドカッター”でよろしいですか?」

「わかりました」

「大丈夫だ。……けどレイラって何の魔法が使えるんだ?」


 確か光を使えるのは知っているけど、他は何が使えるのかは知らない。

 あ、そういえば火も使えるか。

 あと今、風が使えることが判明したが。


「私が扱えるのは初級が火と風と水、中級に氷、そして上級の光です」

「なるほど」


 ちょうど初級、中級、上級が使えるのか。

 なら、とりあえず一度上級まで使ってみて、後からレイラが扱えない種類の魔法を使ってみるか。……まぁ精霊魔法はスルーするという方向で。

 下手したら廃人とかになりそうで怖い。


「それじゃあ詠唱を教えます。後から続いて復唱してください。風の精霊よ その力を現し 悪しき敵を切り通せ“ウィンドカッター”です」

「ふむ……風の精霊よ その力を現し 悪しき敵を切り通せ“ウィンドカッター”」

「完璧です、流石です一也様」

「まぁこのくらいなら簡単だな」


 高々一文くらいはすぐに暗記出来るさ。

 これが段々長くなっていったら、まず一回じゃ無理だ。


「それじゃ次は私が実践して見せますね?」


 レイラが俺達から少し離れて詠唱する。


「風の精霊よ その力を現し 悪しき敵を切り通せ!“ウィンドカッター”!」


 詠唱終了と同時にレイラの手から、一迅の風が吹く。シュッ、という音がして、俺とアイリさんの横を通り過ぎていく。


「こんな感じですね。何か対象物に当てるとその対象物を斬り裂きます」

「風は不可視だから一番危ないな」


 俺は風の通り道とかは肌で感じることが出来るからなんとか避け切れるか?


「そうですね。対人に放つ魔法で一番殺傷能力が高いのは風系統ですし、十分注意が必要です。でも一也さんなら大丈夫でしょ? むやみに力を振り回したりする人じゃありませんし」

「そうですね」

「とりあえずやってみるかな」


 二人からそんな評価をされていることに驚きながらも、俺は二人から離れた位置に立つ。

 先ほどとは違い、俺はアイリさんとレイラがいる方向とは反対の方向に向く。

 ファイヤーボールみたいなことになったら下手すると殺してしまう可能性があるしな……

 初めて使った魔法は、レイラの魔法の十倍以上の威力を叩きだしている。それなのに一回も試さずに人に向けて放つなど馬鹿の行動だ。

 んじゃやるか……


「風の精霊よ その力を現し 悪しき敵を切り通せ!“ウィンドカッター”!」


 やはりと言うべきか、俺の手から放たれる風は、レイラのものと違い、突風を巻き起こしながら突き進む。たくさんの砂埃を上げながら突き進んでいくその風は、さながら台風のようだ。


「「「…………」」」


 やっぱりこういう反応になりますよね。


「……流石ですね、一也様」

「………ありがとう」


 そんな優しさが痛いです……


「つ、次は気を取り直して氷の魔法に行きましょう!」


 レイラもこの空気をどうにかするべく行動を起こしてくれる。アイリさんも魔導書からその項目を必死に探してくれている。

 あぁ、二人の優しさが心に響く……


「あ、ありました。では先ほど同じく私に続いて詠唱してください。氷の精霊よ その凍結を以て 封じ込めよ“フリーズ”」

「氷の精霊よ その凍結を以て 封じ込めよ“フリーズ”」


 これは相手を凍らせる魔法か?


「この魔法は攻撃魔法ではなく、補助魔法に分類されるものです。対象の部分を凍らし、動きを封じ込めるもので魔物などに有効です」

「なるほど」


 補助系統だったか。

 でもこれもうまく使えば多大なダメージを与えることが出来そうだな。

 例えば甲羅などがある防御力が高い相手でも、その部位を完全に凍らせることによってその部位を脆くして破壊するとか……

 結構極悪な行動だよな、これ……


「それじゃ今回はこれを使います」


 そうして取り出したのは……カカシ?

 それはワラのような植物で作られた人の形状をしたもので、一応手と足が付いている。足は付いているだけで、後ろに支え棒が付けらている。しかも顔はいらないはずなのに何かが描かれている。


「何だそれ?」

「これは衛兵の方々が対人戦を想定した時に使われる人形です」


 アイリさんが丁寧に教えてくれるが、正直人形っていうほど愛嬌がない。てか何か不気味だ。


「これに氷の魔法を唱えます。部位は手にしましょうか…ではいきます。氷の精霊よ その凍結を以て 封じ込めよ!“フリーズ”!」


 やはりレイラの魔法は俺の魔法とは違い、綺麗に人形の片腕を凍らせる。


「こんな感じです」

「わかった」


 今度はあんな威力にならないようにと思いながら詠唱する。


「氷の精霊よ その凍結を以て 封じ込めよ!“フリーズ”!」


 もうやだ……

 今度はレイラが凍らしていないもう一つの片腕を凍らすつもりが、人形全体を凍らせ、一種のオブジェと化した。


「き、気にする必要はありませんよ! 下位の魔法でこれだけ出来るなら別段難しい上位や古代の魔法を使わなくても大丈夫なんですから!」

「そうです。こんな事が出来るのは一也様だけなんですからもっと自信を持ってください」


 また慰められるが正直キツい……

 魔力や精神力とかじゃなくて―――いや、確かに精神に来るけども。


「さ、次は光の魔法に行きますよ! 光の魔法は魔導書に載っていないので、私が詠唱しますね」

「……あぁ」


 もうテンションがガタ落ちだが、せっかく俺のために二人は頑張ってくれているのだから最後までやり通さなくては。


「まず詠唱から。光の精霊よ 我が心の力となりて 光放て“レイアロー”」

「光の精霊よ 我が心の力となりて 光放て“レイアロー”」

「完璧です。では次は実践します。光の精霊よ 我が心の力となりて 光放て!“レイアロー”!」


 レイラの手から光の矢が一本飛び出し、地面に着弾する。その威力はレイラが放った火球の三倍の威力を持っていた。

 …俺が放った火球よりも断然低い威力ではあったが……


「それじゃあやってみてください」

「わかった」


 俺もレイラと同じく地面に着弾させようと思ったが、先ほどから度重なる心労で心が辛いので、ストレス発散のためにさっき俺が全身を凍らせた人形に向かって魔法を放つ。


「光の精霊よ 我が心の力となりて 光放て!“レイアロー”!」


 …………今回が一番酷かった。

 レイラが放った光の矢は一本だったのに対し、俺が放った光の矢は数十本くらい。しかも威力が馬鹿みたいに高く、凍った人形はこの世から跡形もなく消え去っていた。


「「「……………」」」


 これは酷い……


「さ、他の魔法を試してみましょうか」

「そ、そうですね」


 なかったことにされたっ!? 流石にそれは酷くねっ!?

 今までで一番傷ついたぞ、オイ!


「次からは私は実践出来ないので、一也さんの独力で頑張ってください! 一也さんならどんな魔法でも一回でマスター出来ます!」

「では次は水の魔法にいきましょうか」


 完全になかったことになった……

 別にいいけどさっ……


「ではいきます。水の精霊よ 癒しの雨となりて 降り注げ“キュアシャワー”」

「この魔法は?」


 今度は回復っぽい魔法だからあんなに酷い結果にはならないだろう。


「これは回復魔法の一種です。下位の魔法ですけどなかなかもので、軽い怪我などは完璧に治ります。ただ骨折などの体の内側の怪我などには効果がありません」


 ふむ……その魔法――この場合は水がかかる範囲が効果が現れる範囲という訳か。


「でも魔法を使うにはいいけど、効果がわからないな……」


 周りに怪我をしている人もいないし、とりあえず発動するか試してみるか。


「まぁ試してみよう。水の精霊よ 癒しの雨となりて 降り注げ!“キュアシャワー”!」


 出てくるのは豪雨。

 辺り一面を水浸しにする水量が頭上から吐きだされる。

 ……普通こういうのって小雨くらいじゃね? なんで豪雨なの?


「冷たいです……」

「同じく……」

「すいません……」



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 水浸しになった服を着替えて、俺達三人は他の魔法も試してみた。

 一応は精霊と闇以外の魔法は全て発動した。


 土の場合、軽い地面を揺らす魔法が大地を裂きました。

 雷の場合、一条の電気迸るはずなのに極太の雷が迸りました。

 草の場合、蔦を生むはずが何か人食い植物みたいなものが生まれました。


 ……酷ぇ。


「……まぁ私はそれでいいと思いますよ? 一也様の個性ですし、その威力は驚嘆に値すると思います」

「そうですよ、だから元気出してください!」

「ありがとね? 二人とも」


 ほんと涙が出そうだよ……


「さて、出来るだけの魔法は試してみましたけど……」

「そうですね。闇の魔法はグレイア王国の王室にしか伝えられていないのでどうしようもありませんね……」

「そうだな……」


 闇の魔法か……

 ふむ……頭の中でイメージで発動出来ないかな?


「少し試してみるか……」

一也様さん?」


 俺は頭の中で想像する。

 この世界の魔法という定義を覆す。


 ―――詠唱?

 そんなものは必要ない。


 ―――魔力と精神力の練り込み?

 そんなもの勝手に練り込まれる。


 ―――ただ必要なのは一つ。


 そう、それは―――


「“シャドウボール”!」

「「なっ!?」」






 ―――想像だけさ

さて、明日も頑張ってうp出来ると良いなぁ。

なんか寝過ごしそうで怖い……

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