表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/37

居るはずのない弟



 メイドとの散歩を終えて、部屋に戻されたあと...




 さて…………。




 まずは落ち着こう…………。




 ゲームの世界に転生……。




 それはまだいい。




 うん。まだいいんだ。




 そのゲームの世界の悪役の縁者として転生したのは……。




 まぁ、まだいい。




 問題は自分のことだ。




 そう、自分だ。




 この世界……【ルセリア】は所謂、剣と魔法の世界で恋愛要素もあるRPGというものだ。




 主人公はその愛と勇気を胸に、ヒロイン達との絆を深め、大悪を討つ!




 まー、要するに王道中の王道RPGだな。




 でだ。




 そのゲームは確かにアストラ家が存在し、我が兄【アッシュ・ヴィ・アストラ】は第一部ラスボスとして主人公の前に立ちはだかった。




 その戦いにアッシュは敗北し、捕まり、そして最終的に処刑された。両親は自分が脅されただけと主張しながら一家共に全員斬首の刑で。




 アッシュの最後のセリフは確か――




「俺は最後まで孤独か。」




 


 そこから暗転。




 あぁ……そうだ。




 アッシュからしたら主人公はアッシュの婚約者を奪ったんだからな。




 それで孤独を感じていたんだろう。




 まぁ、元々アッシュは自分の婚約者の扱いが良くなかったから奪われるハメになったのが原因だが。





 兄の話は置いといてだ




 問題は俺だ




 原作ではアッシュは国家転覆の罪で一家全員が斬首の刑になった。




 一家全員だ。




 それなのにルークという名の弟が居なかった。




 そう、俺が居なかったのだ。




 この世界の成人年齢は15歳という。




 そして、原作ではアッシュが処刑されたのは18歳の時だ。




 今の俺は2歳。




 原作なら俺は16歳になる。




 なにも知らない子供として見なされない。




 だが、CGで出てきたのは父、母とアッシュだけだった。




 ルークという存在も、それを匂わせるテキストも……いや……確か、主人公達はアッシュの暗躍に対して証拠となるものを確保するためにこの屋敷に侵入したんだったな。




 この屋敷の地下に牢屋があるはずだ。




 牢屋は3っつあって、ゲームでは兄は自分の婚約者をその中の1つに閉じ込めた。




 兄の婚約者がいるのとはまた別の牢屋を開けようとしたらこんなセリフが出てきた。




『…………臭い。』


『……その牢は開けない方がいい。』




 アッシュの帝国から持ち込まれた薬で人体実験として使われた人達の遺体があの中に積まれてたとは思ってたが....。




 まさかあの中にルークが居たとでも言うのか?




 現時点では推測の域だな。




 しかし、自分が死ぬ未来があるというならそれを回避したいものだ。




 死ぬのはあまりいい気分にならないからな。




 ちなみに俺の前世の死因はコンビニで立ち読みしてたら、外からミサイルの如く突っ込んだ車のせいで死んだ。




 全く、あの国の政府は免許制度を見直してもらいたいものだ。




 あんな死に方するなど本当にたまったものではない。




 今になってもうどうしようもないが……。




 まぁ……【ルセリアの軌跡】の世界に転生したのは嬉しいが、物語に関わらない、いつか殺されるかもしれないモブである以上、自分で自分をどうにか生かす術を見つけないといけないな。




 となれば、どうすればいいか。




 考える。






 考えて、3っつのプランが思い浮かぶ……。




 


 一つ、アッシュと仲よくなる。





 一つ、前世の知識で両親に自分の価値を見せつける。


 




 一つ、力をつける。





 今朝の様子を見るにアッシュと仲良くなるのは無理だろう……。




 理由は分からんが嫌われているようだからな。




 両親に自分の価値見せつけるのはもっとダメだ。




 原作の両親は金の亡者だ。この世界でもきっとそうだろう。




 前世の知識を使った所で今のただの子供の俺にはそれの主導権を握れないだろう。




 なら、最後の力つけるプランは?




 長期的だが確実だ。




 幸い俺の家は公爵家だ。




 政治力としても、武力としても、大貴族故に家庭教師が付くはずだ。




 色々学べるだろう。




 そうじゃないとしても、この家に書庫がある。




 ゲームでは一冊一冊読めないが、現実になったこの世界なら気力と時間さえあれば全部読めるはずだ。




 本を読むのは好きだしな。




 このプランで行こう。




 さて、今後のことを考えてたら眠くなってしまった。




 全く、赤ん坊の身では出来ることが限られてるな。




 とりあえず……。




 居るはずのない自分の未来は未来の自分に…………





 任せて…………





 おこう…………。







 スヤ......。




 


 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ