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雑談タイムの兄弟

「めでたいじゃないか?」




「うむ……」




 ども、ルークだ


 俺は今、浮かない顔をした兄上の相談に乗っている。


 ゲームでは知ってたことだがやっぱりトリーシャお姉ちゃんと婚約が決まったらしい。


 それなのに顔が全く嬉しそうにしていない。




「嬉しくないのか?」




「いや、無論嬉しいに決まっている。トリーシャ嬢は大変魅力的な女性だ。だがな、そんな素敵な相手に我らの家の都合で巻き込まれるのが心苦しいのだ。」




「はぁ……」




「あの髪、瞳、そして声……どれも俺の心を溶けさせる。なのにそれを父上の野望のために使われるのは嫌なのだ。」




 ノロケられているのだろうか?




「めんどくさいなぁー」




「なっ!?貴様、父上に貴様のことを黙ってやったのだから相談ぐらいに乗させても良かろう!?」




「そっちは感謝してるよ。でも、もう答えは出てるんだろ?俺にどうしろというんだ?」




「いや、答えが出てないからこうして相談してるのだが……」




「兄上が言ったじゃないか。そんな素敵な相手に我らの家の都合が――とか、父上の野望のために使われるの嫌だ――とか。」




「…………や、やめろ。俺の言った言葉をもう一度言うの……恥ずかしい。」




 これが【ルセリアの軌跡】の第一部ラスボスの姿か……




「いいか、兄上よ。お姉ちゃんが好きなのは分かったし、父上が自分の野望のためにお前たちを結婚させようというのは分かる。だけど、それとこれは別だ。」




「す、好きって……その2つは別ではないであろう……」




「お姉ちゃんのこと好きじゃないのか?」




「だから、それは――」




「好きなのか?そうじゃないのか?どっちだ!」




「……………………好きだ。」




 はぁ……兄上がヘタレとは思わなかったな。ゲームではそんな様子なかったのに。




「なら、それで十分だろ?」




「………………」




 俯いた頭に見える耳が真っ赤になってら。




「いいか、兄上よ。父上は父上、兄上は兄上だ。父上がどんな野望を持とうがそれは子供の俺達には関係ないんだ。その野望が何故俺達にまで降り掛かるのかは、それは父上が身勝手な大人だからだ。」




「………………」




「大人の身勝手はどんな世界に行っても、どんな時代に生きても、割を食うのはいつも子供だ。」




 前世では騒いでいい公園で騒ぐガキを迷惑だって言って、公園そのものを無くそうという大人がいるくらいだしな。無くそうとした理由がどうあれ、それは大人だけの都合だ。身も蓋もない言い方だが。




「…………なら、もうどうしようも出来ないではないか?」




「現時点ではな。だからこそ、子供はより大人を見なければならないんだ。」




「大人を見るだと?」




「そう。大人を見て、学んで、それで学んだことの何を将来に繋げるべきか、捨てるべきかと悩んで、少しずつお姉ちゃんを守れる大人になっていけばいい。」




 結局のところ、これしかないと思う。




「それでも嫌だって言うなら力を付けるしかないさ。」




「力を?」


 


「そう。武力、財力、知力、政治力、人との繋がりの力、等々だ。」




「そうか……」




「なんなら暴力でもいいぞ。手始めにこの家を乗っ取ろうか?今から兄上がアストラの当主になれば、父上の野望もクソもないぞ?」




「極端過ぎるぞ、貴様!」




「ははは!冗談だ。」




 いや、ゲームでは10歳の年でアストラ家を乗っ取ったんだが、お前は。




「はぁ……貴様に相談したのは間違いだったな。だが、少しはスッキリしたのは確かだ。」




「それは良かった。」




「うむ……せっかく書庫にいる事だし、魔法関連の本でも読むとするか。」




 あー魔法関連な


 それ系はあまりないんだよなここ。




「魔法関連ならそこの棚の8段目だ。高いからハシゴ使った方がいいぞ。」




「それはどこにあるのだ?」




「扉付近で立ってる。」 




 しばらくしたら、兄上がハシゴ持って帰ってきた。


 おおー子供がハシゴを片手で持ち上げてるのシュールだな。




「ふむ……基本魔法……魔法とは何か……ブコでも分かる魔法の基礎…………なんだこれは?少ないぞ?そして殆ど基本魔法に関してしか置いていない……ルーク、もっと上級のものはないのか?」




「ないぞー。というか、その手の魔法書は70年前に廃棄されたはずだぞ。」




「どういうことだ?」




「ミロレス・フェルディナンドって知ってる?」




「ああ、40年前に死去したフレイシア王国の元魔法師団長だ。現在はそのミロレスの孫が団長を勤めているはずだ。」




「アッシュ君良く勉強してますねー、花丸を上げましょう!」




「茶化すな。」




 ゴンッ




 …………痛たい。




「…………復活したか?では、続けろ。」




「っつつ……。ああ、ミロレスね。そのミロレスが出した論文が現在使われてる魔法の基礎を変えたんだよ。」




「論文?どういうことだ?」




「その前に70年前の魔法の話をしようか。」




「それまで上級魔法などがあったんだな?」




「うん、70年前の魔法は初、中、上そして最上の階級があった。でも今はそれが廃止されたんだ。」




「何故だ?そういう階級があれば、その魔法使いの強さも分かるであろう?」




「ところがそうならかったんだよ。問題は個人の性質だからだ。」




「個人の性質?どういうことだ?」




「兄上は今、どんな魔法が使えるんだ?」




「火の玉ファイヤーボールと風の玉ウィンドボールだな。それがどうした?」




「例えばの話だが、昔の最上級魔法インフェルノというのがあって、このアストラの街を無に帰すほどの力があるんだ。」




「うむ……」




「同様に同じくらい魔力を注ぎ、巨大になった火の玉ファイヤーボールがある。これはどれくらいの力があるのでしょう?」




「どれくらいって……ああ、そうか。同じ量の魔力を注げば、初級でも最上級に匹敵するのか。」




「そう。だから魔法の階級は意味がないんだ。」




「それではその魔法使いの強さが分かりにくいではないか。」




「うん、だから基本として球体を…魔力の形態変化が出来るかどうかを見るんだ。」




「形態変化?」




「そう、それをどこまで形を崩さず、魔力を注げられるのかが今の時代の魔法使いの実力を計るんだ。それが階級魔法が無くなった代わりの基本魔法であるというんだ。」




「なるほど。」




「それとは別の形態変化が苦手で魔力放出だけ全振りの魔力でぶっぱする人がいるし、少ない魔力放出を効率良く形態変化で極める人だっている。」




「それはもう基本とは違うな。」




「そうそう、それはもう本人の気質、才能、そして想像力で生まれた魔法になる。ミロレスはこれを固有魔法と呼んでいた。」




「なるほど……だが、そうなると俺が魔法を極めるには自分の気質と才能を知らねばならぬか。想像力はあまり分からぬな。」




「才能なら適性検査で分かってるし、想像力だって俺がいるからなんとかなるさ。」




「なんだ?手伝うのか?」




「興味が沸いたからな。」




 何せ兄上は【ルセリアの軌跡】の第一部ラスボスだ。


 レベルカンストの主人公の魔力が9999だ。


 ボス役の兄上ならゲームバランス的にそれ以上になる。




 ゲーム技以外の技が出てくるかどうか楽しみだ。

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