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エクジステンス  作者: さやき
第一章
6/12

強くなる理由

 翔

「逃げろ、翔くん!」拓也さんさんが叫んだ。

「だけど、杉本さんが!」

「わかってる!俺が必ず助けるから、君は走れ!」

 拓也さんの声は切羽詰まっていた。僕は拓也さんを信じて走り出した。

「逃がすと思ってるのか?」桐谷が言った。「逃げたければ、逃げればいい。だけど、逃げたらこいつの命はない。」

 桐ヶ谷は銃を取り出し、杉本さんの方に向けた。

 僕は立ち止まった。このまま逃げると、僕のせいで杉本さんは死ぬ。

「俺は誰も死なせない!」拓也さんが怒鳴った。

「黙れ!お前も殺すぞ!」桐ヶ谷が怒鳴り返した。

「お前に俺が殺せるとでも?」拓也さんがつぶやいた。

「黙れ!」そう言って桐ヶ谷は銃を発砲した。

 弾は杉本さんの肩をかすった。

「罪のない人間を傷つける人間は嫌いだ!

 『大気操術』」

 拓也さんがそう言った瞬間、桐ヶ谷が壁に吹っ飛ばされた。

「––––ッ!」

 桐ヶ谷が壁に当たった時、ゾロゾロと銃を持った人たちが出てきた。

「全員撃ち殺せ!」桐ヶ谷が怒鳴った。

 爆発のような銃声が数秒鳴り続いた。

 僕は慌てた。今回は僕の力は発動しないかもしれない。それに、杉本さんは無防備だ。僕は全てが怖くなって目を閉じた。

 

 銃声が穏やかに鳴り止んでいく。

 僕は目を開けた。目の前には金色の壁みたいに銃弾が浮いている。

 これは今朝の時使った僕の力に似ていた。だけど、なぜか僕は違うとわかった。これは拓也さんの力だ。それは、拓也さんの次の行動で明らかになった。

 拓也さんは手を前に伸ばした。すると、一斉に浮いていた銃弾は桐ヶ谷の方に向いた。桐ヶ谷の前にいたはずの銃を持った人たちはいつの間にか床に全員倒れていた。

 銃弾は桐ヶ谷を避けるように桐ヶ谷の周りの壁に穴を開けた。

「俺には人を殺める趣味はない。お前らと違ってな。」圧をかけるように拓也さんは桐ヶ谷に言った。

 その後、桐ヶ谷が何か言える間もなく、彼は倒れ込んだ。

「彩香ちゃん!」拓也さんは杉本さんに駆け寄った。

 杉本さんは気を失っていた。拓也さんに抱え上げられた彼女は血まみれで人間らしくない白さだった。

「まだ息はある。これは多分病院に行った方がいいな。」拓也さんがそう言って、携帯で救急車を呼び始めた。

「僕のせいだ。僕が一緒にいたから。死ぬべきなのは僕だけなのに!」僕は泣き喚いた。

 いつの間にか僕は地面に膝をついて、大粒の涙を地面に落としていた。

「僕はただいつまでも色んな人に迷惑をかけ続けるんだ。この世に生きていても、人の迷惑なだけで、意味のない人間なんだ!」

「喚くな。彼女はまだ死んでいない。弱音を吐いても、意味がない。」僕に向かって冷静だが、怒るような口調で拓也さんが言った。「何が僕のせいだ、人に迷惑をかける、意味のない人間だ。じゃあ、人に迷惑をかけるな、自分を意味のある人間にしろ。そうすれば、お前も生きていけるだろ。」

 僕は拓也さんを見た。

「何をすれば僕はそういう人間になれますか…?」

「強くなれ。強くなれば、君はこれから誰も巻き込まずに済む。強くなれば、人を助けられる。強くなれば、あんな奴らをこの世界から消せる!強くなって、みんなに認めてもらえ。そうすれば、君には生きる意味も居場所もできる。」

「強くなる…」

 強くなれば、誰も傷つけずに、誰にも迷惑をかけずに、生きていける。強ければ、みんなと一緒にこれから生きていける。

 ならば、僕は強くなって、人を救い、あいつらをこの世から消し去る。

 僕は生きる許しと居場所を得るために強くなる。

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