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フューマン ~フューチャー・アイランド~  作者: nandemoE


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Quarrel

「……さて。ここのところ色々あって大変でしたが、ひとまず今日はゆっくりと楽しんで頂ければと思います。それでは、乾杯」


「「かんぱーい!」」


 宙光の音頭でBBQは盛大に開始された。


「うまっ! 肉うまっ! 何この肉うますぎるじゃん!」


「ちょっと瑛奈さん、肉ばっかり!」


「いるよね~、正義の野菜も食べましょうマン」


「エーナさん、言い方……」


「ダメダメ。BBQに対する熱意が足りないじゃん? アタシはいつだって全速前進DA! 肉に極振りしょ!」


「何だろう、時たまエーナさんに妙な親近感が芽生えます」


「良いじゃん良いじゃん。トモチー、君も実は熱い側の人間かね?」


「いや、どちらかと言えば理論派で感情論の類は苦手なタイプですが……」


「なら君は野菜だ。そしてアタシは肉食じゃん!?」


「熱くなります!」


「友親さん、理論も何もあったものじゃないです……それに、どうして大君くんは野菜ばっかり食べてるの!」


「ん~、なんとなく?」


「たはは~! ヒー君オッサンじゃん!」


「大君くん可愛くない!」


「そう言うナーヤちゃんも自分の価値観の押し付けは可愛くないじゃーん?」


「あ! じゃあもうお肉はこっちの方だけで焼きますから」


「うそうそ! ナーヤちゃんゴメーン! 焼く係代わるから許して~!」


「いつもながら混沌のカオスでござる」


 終始賑やかに進行し、BBQも終わりに近付いた。


「いやあ熱いねえ。僕も学生時代を思い出すよ」


「良いじゃん良いじゃん! アタシ熱い人大好きだし!」


「え、そうかい?」


「あ~、やっぱり宙光君も若い子が好きなんだ~」


「ち、違うよ明日葉! ……目茶川さんも、どうして熱い人が好きなんだい?」


「ん~、出来る人って感じがするっしょ」


「あれ、俺てっきり心理学に基づいた話かと思ったよ」


「全然違うよヒー君、これは普通に私の持論」


「へえ。エーナちゃんの持論かあ。面白そうだね、どんなの?」


「言ってみれば心の総熱量みたいな感じ。何にでも全力で頑張れる人と、少し斜に構えて引いてる人っているじゃん」


「「いるね」」


「それってその人が持ってる心の総熱量の差だと思うんだよね。例えばヒー君、勉強や仕事と遊びだったら、どっちにより全力を注げる?」


「趣味一択なんだが」


「だよね。勉強なんて仕方無くやってる訳だし、遊びは好きだからやってる訳でさ。だけど、中にはその遊びにすら本気を出せない人っているよね」


「「いるいる」」


「そう言う熱くない人ってさ。自分の好きなことにすら本気を出せないのに、勉強や仕事になんか本気になれるのかよ~って、思わない?」


「確かにそれは俺も思うところある」


「そう。だからアタシは熱い人の方が出来る人って感じで好きなんだ。時には熱くなっちゃってダサいとか言われるケドさ。それが何だって良いんだよ、とにかく何かに全力な人の方が断然カッコ良いじゃん?」


「そう言い切れるエーナさんもカッケーです」


「だろ~トモチー? あ、因みにここにいるみんなは全員熱い人だと思ってるよ? だってそもそも尋常じゃない熱量を注いで来たからこそ此処にいるんだもんね」


「エーナちゃん俺は?」


「ヒー君は最初からやることが死ぬほど振り切ってるから激アツじゃん?」


「「確かに」」


「だから少なくともアタシは、皆のこと大好きって訳よ」


「瑛奈さん。私、不覚にもちょっと関心してしまいました」


「僕もだよ。何だか最近、目茶川さんに教わることが多いなあ」


「俺は最初からエーナちゃんは凄い子だって思ってたよ」


「そうであろう、そうであろう」


 瑛奈は胸を張って言った。


「えーと、ではエーナさんの持論とは簡潔にまとめると……」


「心の総熱量は多い方が良いってことだよね、エーナちゃん」


「違うよヒー君、私の持論はね。遊びにだけはガチれってこと」


「研究もやってくれ」


「いて」


 宙光のチョップが瑛奈の頭に垂直に刺さった。


「私も、何だか前言撤回します」


「みんな酷っ!」


 そこで全員の笑いを誘い、穏やかな雰囲気で場が閉められようとしていた。


「ところでエーナさん。心の総熱量が少ない人は何か気をつけた方が良いんですか?」


 友親が言った。


「ううん、別にその人の性格だしね~。だけどアタシの経験上、そう言う人は悪い感情を上手く発散できないで内側に溜め込んじゃうことが多い気がするじゃん?」


 一同頷く。


「普段は大人しいけどキレると恐い人って言うのかな。内側に溜め込んだ悪い感情って、爆発する時はおっかないよね~。しかもそう言う感情って結構しつこく燻るしさ~」


 灰に成りかけた炭が音を立てて撥ねた。

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