Bleak
「「こんにちは~」」
休日、ゼミメンバーは宙光の家に招待されて訪れた。
「三人ともいらっしゃい。早かったね」
庭でBBQの準備をしていた宙光が応えた。
「センセこれおみやげ~」
「そんな気を遣わなくても良かったのに、ありがとう」
「アイスだから冷やしておいてね~」
「了解。じゃあ最後に皆で食べようか」
「やった~! センセ解ってる~」
「……自分で食べるの前提でお土産とは」
「何か言ったトモチー?」
「いえ何も」
「それにアイスの選択はナーヤちゃんだし」
「意外でござる」
「アイスは譲れません」
「さ、左様でござるか」
宙光は苦笑いをしつつ窓から家の中に声を掛けた。
「みんなが来たよ~。ハナ~、アイス貰ったから冷やしておいて~」
「かしこまりました」
アイスをハナに渡して宙光は三人に振り返る。
「さて。お爺ちゃん達もそろそろ野菜の買い出しから戻る頃だと思うんだけど、それまで適当に座って待ってて。今何か飲み物出すから」
「はーい」
「瑛奈さん、準備のお手伝いくらいしましょうよ」
「え~」
「拙者は何をすれば良いでござるか?」
「そう言われると……私も食べる専門でした。いつもは父が準備してくれていたので」
「ははは。じゃあ折角だし遠慮なく皆に頼んじゃおうかな。まずはテーブルや食器類かな。火はお爺ちゃん達が戻ったら起こそうか」
「「はーい」」
そこへ明日葉が顔を出した。
「こんにちは皆さん、主人がいつもお世話になっています。妻の明日葉です」
「初めまして、御面那彩です」
「目茶川瑛奈です」
「丁嵐友親です」
「よろしくね。ところで……」
明日葉は女性二人を交互に見た。
「どちらがヒージィの彼女さん?」
「「私です」」
二人の回答は同時だった。
「瑛奈さん、どうしてそうなるんですか」
「ナーヤちゃんは仮だけど、アタシは本気だからじゃん?」
「わ、私だって……」
「たはは~。仮が取れたら言ってもらおうかな~」
「あら~。宙光君、もう火が起きちゃった」
「明日葉が余計なこと聞くからだよ……」
「Bleak Blaze Quarrel。まさにBBQでござる」
「うっさいトモチー」
「厨二病が過ぎますよ」
「……今こそアイスが必要でござる」
そこへ手を繋いだ大君と乃々花が現れた。
「ただいま~。そしてみんないらっしゃい」
「ヒージィ。みんなだぁれ?」
乃々花は大君を見上げた。
「三人とも、ヒージィの大事なお友達だよ」
宙光と明日葉は苦笑いでその様子を見ていた。






