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この作品には 〔ボーイズラブ要素〕〔残酷描写〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

夏目がいなくなる日

作者: 夏

色々謎なところが多いと思いますが好評でしたら続きを書きたいなと思います。

僕は、夏目が好きだ。夏目は僕に優しくしてくれるし、僕の言うことを何でも聞いてくれるからね。でも最近、少し不満なんだよね。だってさあ、夏目って僕と二人きりのとき以外はいつも「仮面」を被っているんだもの。

例えば、クラスメイトの女子と話しているときとか、学校の先生と話してるときとか、そういうときは決まって作り笑いをしているんだよ? それに、みんなの前で「本当の自分」を見せようとしない。なんでそんなことしてるのかなって思ってたんだけど、ある日突然その理由が分かったよ。夏目の机の中に、「本当の自分」を隠していたからだ。それはまるで遺書みたいだったけど、内容を読んで納得したよ。ああ、こいつは死にたがり屋なんだなあって。

だから僕は思ったんだ。もし夏目を自殺させるような出来事が起きたらどうなるんだろうか、って。僕はそれが知りたくて仕方がなかった。

そこで、ちょっとだけ悪戯をしてみた。バレたら××××かもしれないけど...。ある日のこと。

その日は、体育の授業があった。授業の内容はバスケだ。僕は運動が得意じゃないからパスばっかりしていたんだけど、夏目だけは違った。あいつはボールを持った瞬間に人が変わったかのように動き出して、ゴールを決めるどころかスリーポイントシュートまで決めてしまったのだ。そのときの動きはまるで別人のようだった。

まあ、それだけなら別に良かったんだけど……その後に事件が起こったんだ。休憩時間になって、僕たちは教室に戻っていた。そしたらいきなり、男子生徒が血相を変えて走ってきたんだ。そして、こう言った。

「隣のクラスの奴が、夏目に暴力を振るった!」えっ!?︎ と、思わず声を出しそうになった。でも、それをぐっと堪えて様子を見ることにした。男子生徒の話によると、夏目が女子に話しかけられているのを見てその女子のことが好きだった男子がイラついて夏目に殴りかかったそうだ。夏目は抵抗もせずに殴られ続けていたという。急いで体育館に向かった。男子は怒りが収まらずに夏目のことを蹴り始めた。僕は慌てて止めに入ったんだけど、他の生徒たちにも止められて結局何もできなかった。それを見た女子たちが騒ぎ出したおかげで、先生が来るまでにそこまで時間はかからなかった。

それからしばらく経って、放課後になった頃だった。体育館裏で喧嘩する音が聞こえてきたのだ。何事だと思い、急いで見に行った。するとそこには、ボロボロになりながらも相手を殴ろうとする夏目の姿があった。相手は3人ほどいて、そのうちの一人はナイフを持っていた。僕は怖くなって逃げ出したかったけど勇気を振り絞ってそこに残った。

まず最初に、相手が夏目に襲いかかろうとした。しかし夏目はひらりと避けて相手の足を蹴った。バランスを崩した相手に追撃を加えようとしたところで後ろから別の人に羽交い締めにされた。それで身動きが取れなくなったところをまた違う人がナイフで襲おうとしたが、今度は足をかけられて転んでしまった。チャンスと思った僕はすぐに駆け寄って思いっきり顔を殴った。これで2対1だ! と思ったのだが、次の瞬間には背中に強い衝撃を受けて倒れ込んでしまった。振り返ると、そこにはもう一人仲間がいたようで、そいつも夏目を蹴ろうとしていた。僕は必死に立ち上がって二人の間に入ろうとしたが間に合わず、夏目の身体を思い切り蹴られてしまった。しかも当たり所が悪かったのか夏目は動かなくなってしまった。僕はパニックに陥ったが、駆け付けてくれた先生のおかげで何とか落ち着きを取り戻した。その後救急車を呼んだ。病院で治療を受けた後、僕は警察に連れてかれた。そして取り調べを受けることになった。正直言って、何を聞かれても覚えていないの一点張りだったが、唯一はっきり覚えていることと言えば、あの時、僕は夏目を殺したかもしれないということだけだ。

まだ意識不明の状態が続いているようだ。早く目覚めてほしいものだ。

僕のせいかもしれないなあ……。本当にごめんね、夏目。


一週間後。夏目が死んだ。

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